ホリエモンも参入! ヴィトン出店、時給2千円…世界の富裕層が注目の「ニセコ」で起きていること
ニセコのスキー文化を消さないために、ブランド力を落とさないために……
旅行客からは「リゾート内の移動手段を何とかしてほしい」との声も上がっている。 「リゾートエリアへの自動車の乗り入れを規制する以外に解決策はない。僕はそう考えています。これから北海道新幹線倶知安駅の開業に向けて駅周辺の開発が始まるので、それに合わせて駅周辺に駐車場を整備し、車を市街地に置いておけるようにする。そのうえで、市街地からリゾートエリアまでの移動手段を用意する。 4つのスキーリゾートを結ぶシャトルバスや市街地とリゾートエリアを結ぶバスはすでにあるんですが、運行が追いついていません。運転手が少なかったり規制が厳しかったりで、バス会社も苦労しています。2024年問題もあってバスのみに頼るのはもはや現実的ではないので、たとえばロープウェイを新設する。鉄塔を建てる土地を何とかすればいいだけなので、一番、手間と予算がかかりません。 車の乗り入れ台数を制限し、観光バス会社と連携してリゾート内の二次交通網を構築できれば、旅行客はいつでもバスで好きな場所に行けるようになる。 リゾートエリアと市街地をロープウェイで結ぶことによって、飲食店不足の問題もある程度は解消すると思います。街中に行って地元の飲食店を利用するスキー客も増えるでしょうから」 今から手を打たなければ、ニセコは持続可能なリゾートとはならない。田中さんはそう考えている。 「ニセコのブランド力には陰りが出始めています。いろんな人と話をしていて、『ニセコはもうダメだね』という声も聞きます。 スキーの経験がないアジアの小金持ちがブームに乗って押し寄せるような状況が続くと、ニセコのスキーやスノーボードの文化が消えてしまう。それによって世界のリゾートを知る欧米の富裕層や上級スキーヤーが離れていけば、ブランド力は落ちていくでしょう。そんなニセコにしないために、地域の有志と一緒にいろいろ考え活動しているんです」 ニセコが今後も、アメリカン・エキスプレスのカード会員に注目の旅行先として選ばれるようなスキーリゾートであり続けることを願いたい。 田中義人(たなか・よしひと)株式会社ニセコリゾートサービス代表取締役。1972年、札幌市生まれ。倶知安高校卒後、フリースタイルスキー(モーグル)選手として活動し、ヨーロッパカップや全日本大会などに出場。自動車販売会社や外資系金融会社などを経て’03年倶知安に戻り’07年に同社を設立。スキーレンタル、レンタカー、不動産賃貸事業などを展開する。’11年から’23年まで倶知安町議会議員を3期務めた。 取材・文:斉藤さゆり
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