マツダ車の魅力発信30年 広島市南区の宇品工場内ミュージアム 年末から休館、改修で魅力アップへ
マツダの往年の名車や技術を見学できる本社宇品工場(広島市南区)内のマツダミュージアムが今年、開館30年を迎えた。特別企画にも趣向を凝らし、ファンだけでなく観光客や地元住民も訪れる。累計の来館者数は200万人に迫る。年末から約3カ月の休館に入り、さらなる魅力アップを計画する。 【写真】マツダ車の魅力発信30年 広島市南区の宇品工場内ミュージアム(全8枚) 11月下旬、展示室に入ってすぐの場所に、見学で訪れた天満小(西区)5年の児童が集まっていた。熱い視線の先にあったのは、1935年製でマツダが保有する最古の三輪トラック「TCS型」だ。重村修佑さん(10)は「昔の車に興味があった。今は見ない三輪があったと知ってびっくりした」と声を弾ませた。 館内は10ゾーンに分かれ、マツダの過去から現在、未来を紹介している。67年の発売で初めてロータリーエンジンを載せたコスモスポーツやコンセプトカーなど36台が並ぶ。小型オープンスポーツカーのロードスターなどの生産ラインを見学でき、巨大な自動車運搬船を見渡せるエリアもある。 ミュージアムは94年5月に開館した。2005年の全面改装で施設を広げ、現在と同じ鉄骨2階建て延べ約3650平方メートルになった。さらに22年のリニューアルで、黒を基調としたデザインを取り入れるなどブランドの発信機能を強化した。定員45人の予約制ツアーは日本語、英語ともに満員になることが多い。車の開発者の講演などがある月1回の土曜特別開館も人気だ。 地元の小学校の見学先としても定着している。天満小では、5年生が授業の一環で毎年訪れているという。蒲生優太教諭(32)は「広島の企業や車造りを知ることは、地元愛にもつながる」と話す。ミュージアムには、これまでに約190万人が来館。訪日客も多く、23年度は6万人のうち約2割を占めた。 ミュージアムは今月27日から休館に入り、一部改修を経て25年4月の再開を予定する。分かりやすさを突き詰めるなどして、今まで以上に車へ興味を持ってもらえる施設を目指すという。助光浩幸館長は「マツダは車を量産しているが、ミュージアムは訪れた人たちの感動と笑顔を量産できる施設として、これからも案内していきたい」と力を込める。
中国新聞社