松永さん「正直、複雑な気持ちです」池袋暴走事故・飯塚受刑者(93)が死亡
日テレNEWS NNN
東京・池袋で起きた暴走事故で受刑中だった飯塚受刑者が10月に死亡したことがわかりました。事故で妻と娘を亡くした松永さんが取材に応じ、「正直、複雑な気持ちです」と話しました。 ◇ 松永拓也さん(沖縄・西原町、25日午後) 「本日は『交通事故と被害者支援 一人じゃない』というテーマで講演をさせていただきたいと思います」 妻と出会ったという沖縄で講演を行った松永拓也さん。 松永拓也さん 「報道されたのでご存じの方もいるかもしれませんが、彼(飯塚受刑者)は先月26日に刑務所で亡くなりました。正直、複雑な気持ちです」
2019年に起きた池袋暴走事故。当時87歳の飯塚幸三受刑者がハンドルを握っていた車は、松永さんの妻・真菜さん(当時31)と娘・莉子ちゃん(当時3)の命を奪いました。 松永拓也さん 「彼(飯塚受刑者)の裁判での主張は、私たちを本当に苦しめたし、正直許せなかった」 飯塚受刑者(2021年、被告人質問) 「エンジンが異常に高速回転しました」 裁判では一貫して無罪を主張し続けましたが、下されたのは禁錮5年の実刑判決です。2021年に90歳で刑務所に収容されました。松永さんに寄せた手紙には、ブレーキとアクセルの踏み間違いだったことを認める内容が書かれていたといいます。 事故から5年がたった今年5月に、松永さんは飯塚受刑者と面会しました。 松永拓也さん 「(私が)『世の中の高齢者に伝えたいことありますか?』と伝えたら、『自分と同じようにならないように免許返納を早くしてほしい』」
声を出すのもままならない中、それだけははっきり話したという飯塚受刑者。収容され約3年。関係者によると、10月に93歳で老衰のため死亡していたことがわかりました。 松永さんの元には死後、数日たってから知らせがあったといいます。 松永拓也さん 「正直すごく複雑な気持ちで、裁判中は刑務所に入ってほしいと心を鬼にして闘いましたが、自ら望んで刑務所に入ってほしいと望んだことだけど、すごく悲しいことだなとも思って。心からご冥福をお祈りして、少し嫌なことを言うかもしれませんが、妻と娘と出会うことがあるのなら、一言、妻と娘に謝ってほしい。でもそれ以上の彼に対する強い言葉、強い気持ちはあまり今はない。ご冥福をお祈りしたい」 「簡単に許すとかは、私は多分ない。許せないかもしれない、一生。だけれども彼の言葉とか、彼の思いを認めることはできる。許すことはできなくても」 事故があった2019年、免許の自主返納件数は過去最多になりました。しかし、それ以降は減少傾向が続いています。 【運転免許 自主返納件数(※警察庁による)】 2019年:約60万件 2020年:約55万件 2021年:約52万件 2022年:約45万件 2023年:約38万件 松永拓也さん 「(被害者・加害者)どちらの経験も苦悩も、2度と同じ人が生まれないように役立てていきたい。私は勝手に託されたと思っている。彼の言葉も自分の言葉も、真菜と莉子の命のことも。すべて再発防止のために社会に伝え続けていきたい」