【イベントレポート】綾瀬はるか「ルート29」撮影で“むきたまご化”、大沢一菜は投げキッス目撃
映画「ルート29」の公開記念舞台挨拶が本日11月9日に東京・TOHOシネマズ 日比谷で行われ、キャストの綾瀬はるか、大沢一菜、市川実日子、監督を務めた森井勇佑が登壇した。 【写真】市川実日子から映画の感想を伝えられて喜ぶ綾瀬はるか 中尾太一の詩集「ルート29、解放」にインスパイアされた本作は、清掃員の主人公のり子が風変わりな女の子ハルを見つけ出し、これまた奇妙な人たちと出会いながら、姫路と鳥取を結ぶ国道29号線を進んでいくロードムービー。綾瀬が“トンボ”と呼ばれるのり子、大沢がハルを演じたほか、離れて暮らす娘を探してほしいとのり子に頼む理映子に市川が扮している。 綾瀬は観客に感謝しながら「不思議な映画だったでしょうか……?」と呼びかける。今作では初めての舞台挨拶となる市川は「こうして動物的な優しさを持った皆さんとご挨拶できるのがうれしい」と親しみを込めて共演者を見回した。 撮影は実際の国道29号線を進むように順撮りで行われており、綾瀬は「29号線を旅するように撮っていました。ヌーの大家族の夏休みの大移動みたいな」とユニークな表現で述懐。森井も「綾瀬さんと大沢さんのある意味ドキュメンタリー的なリアルな距離の縮まりが欲しいと思っていました。無理矢理ではなく、時間をかけてゆっくり作っていければと思っていたので、順撮りはわりとこだわったところです」と振り返る。 本作で新境地とも言える役に挑戦した綾瀬は「今回はこれまでの全部を削ぎ落とす作業のような感じがして、無にならなくちゃいけない。むきたまごになった感じです。ただ、いる。セリフも考えない。宇宙から降りてきたら、しゃべる。すべてを委ねるような境地でした」と回想。森井には「綾瀬さんは表現しようとせず、そこにいるだけでいい」「それぞれがもとから持っている宇宙を大事にしたい」といった狙いがあったという。 綾瀬との共演について、大沢は「綾瀬さんは監督が言ったことを、トンボさんとして100倍理解して、解釈して演じてる。一菜は監督が何を言ってるかわからないときは、たまに流して、やってます。トンボさんが100倍解釈した演技を見習いたいと思いました」と素直に告白。一方の綾瀬は、大沢から影響を受けていたそうで「本当にただ、そこにいる。監督が求める世界はこういうことなんだ、と。私は、そんな一菜ちゃんを見習いました」と言葉を返した。 舞台挨拶の途中には「二人の夏休み」と題したメイキング映像も上映。これを初めて目にしたときに涙したという綾瀬は「いろいろ思い出して。本当にトンボとハルがいたのかなと感じて。歳も違うのに、そんなに違いも感じない、不思議な2人だなと思って観ていました」と打ち明ける。大沢も「最初に観たときに感動したので、1日に5回ぐらい観てます」と明かした。なお動画はYouTubeで公開中だ。 映画の冒頭は、のり子と理映子が精神科病棟の庭で喫煙するシーンで、たばこを吸ったことがない綾瀬は市川と一緒に自宅で練習することもあったそう。綾瀬を指導したという市川は「もう絶対に吸ってない人にしか見えなかった。笑っちゃって練習にならなかった」と話し、綾瀬のチャーミングなタバコの吸い方をまねて笑いを誘う。そんな仲のいい2人と共演した大沢は、「現場でも投げキッスし合って遊んでいて、かわいい2人だなと思いました」と伝えた。 市川の「綾瀬さんが心のきれいな人だ、ということがよくわかる映画」という感想がうれしかったという綾瀬。市川はその真意を「映画って、すべて伝わってくるじゃないですか。役だけど、その方の人柄というか心持ちも」と補足し、「2回目を観たときに、その人の本当の優しさを感じて。人と人が出会うと必ず別れがあるけど、それは決して悲しいことじゃない。人はそれぞれの世界を持って生きているんだなあと思いました。面白かったら、もう一度観ていただけると、違う風景が広がる映画だと思います」と話した。 舞台挨拶では、綾瀬が手作りしたフォトアルバムをサプライズで大沢にプレゼントする一幕も。大沢が「宝物にします」と感謝を伝えると、綾瀬は「どういうのが好きなのかな?と考えながら作って。もうちょっと絵を描き込みたい気持ちもあるので、あとで1回引き取らせてもらって……」といったんの返却を求めて、場を和ませた。 最後に、綾瀬が「生きてるのか、死んでるのか、わからない、ちょっと不思議な人たちもたくさん出てきて。でも、みんながそれぞれの宇宙を持っていて、それぞれに生きている。死の世界、現実の世界って、意外にそんなに区切りがないんじゃないかと感じたり。一菜ちゃんが演じるハルは、いつも自由で、変な人が出てきても、すっと受け入れていく。シンプルな言葉の中に優しさがあって。私は『ああ、ハルみたいになりたい』と思う映画でした。よかったらまた観に来てください」と呼びかけ、イベントを締めくくった。 (c)2024「ルート29」製作委員会