北口榛花が五輪イヤー初戦で逆転V 好調の要因は助走スピードアップと日本食
◆陸上 ダイヤモンドリーグ 第2戦(27日、中国・蘇州) 女子やり投げで昨年の世界選手権女王、北口榛花(26)=JAL=が今季初戦に臨み、62メートル97で優勝した。2位で迎えた最終6投目に、首位だったマッケンジー・リトル(オーストラリア)を逆転した。冬季は助走スピードアップや栄養士のサポートなど新しい試みを行い、世界最高峰シリーズの舞台で早速勝負強さを発揮。金メダルを狙うパリ五輪(7月26日開幕)へ弾みをつけた。 今季初戦から、北口の土壇場での勝負強さが光った。優勝が決まった直後は驚いた表情だったが、すぐにいつもの“北口スマイル”がはじけた。「あまり自分の中でかみ合っている感じがしない」と振り返ったが、7位で迎えた5投目、最終6投目に残るには3位に入る必要がある中、61メートル44で2位に浮上。さらに「勢いだけで投げた」最後の1投で63メートル手前まで伸ばし、逆転した。 試合前の練習は過去にないほど状態が悪かったという。4投目までは60メートルに届かない大苦戦も、終わってみればアジア記録保持者の呂會會(中国)、世界選手権3位のマッケンジーらトップ選手を抑えた。昨季は世界選手権を制し、ダイヤモンドリーグの年間王者を決めるファイナルでは日本勢初優勝を果たした。迎えた五輪イヤー初戦。「試合をしたら(五輪への)絵が描けるかなと思ったが、まだまだまっさら。整理が必要で、これから作戦会議」と反省も残るが、女王は確実に結果を残した。 冬季はスピードアップに注力。練習パートナーとのスプリント練習では「いい勝負ができるようになってきた」と手応えがあった。2月から投てき練習も開始。助走の速さが上がると技術とのかみ合わせが難しくなるが「ある程度形になってきている」とうなずく。「試合が何よりの練習」と今後は実戦重視で五輪に挑む見込みだ。 今年1月から、日本人の管理栄養士の食事サポートを受けていることも好調の要因だ。拠点のチェコは小麦料理が多く、外食ではおなかを壊すこともあったが「体調が安定する。コンスタントに練習できる環境になった」と日本食が力の源となっている。慢心することなく、貪欲に新しい試みも取り入れる女王は、五輪について「1番が一番いい」。悲願の金メダルへ、北口の進化は止まらない。 ▽女子やり投げ 〈1〉北口榛花(JAL)62メートル97〈2〉マッケンジー・リトル(オーストラリア)62メートル12〈3〉ルイスフルタド(コロンビア)60メートル70
報知新聞社