5月、東京の建築をディープに楽しむ「東京建築祭」へ。
モダニズム建築から現代建築まで、東京の多彩な名建築が公開される『東京建築祭』。普段は入れない場所をガイドとともに特別公開するなど、見慣れた街の景色が違って見えてくるイベントです。 「東京建築祭」は通常は立ち入ることのできない場所を見学したり、建物の由来や設計に詳しいガイドと一緒に回ったりと、建築についてより深く理解できるイベントだ。これまで「生きた建築ミュージアム大阪」「京都モダン建築祭」など、関西地方では同様のイベントが開かれてきた。東京でこれだけの規模の建築公開イベントが行われるのは初めてのことになる。
5月25日、26日には〈築地本願寺〉〈日証館〉など16件の建物が申し込み不要・無料で特別公開される。2022年に解体された〈中銀カプセルタワービル〉のカプセルを再活用した〈SHUTL〉や1924年に安井武雄が設立した〈安井建築設計事務所 東京事務所〉なども見学可能だ。
基本的に事前申し込みによる抽選制・有料となるガイドツアーは44コース用意されている。本誌でもおなじみの甲斐みのりさんが案内してくれるのは〈銀座ライオンビル〉〈東京會舘〉〈三越日本橋本店〉。ランチやスイーツをいただきながら甲斐さんのお話と空間を堪能できる。〈東京ステーションホテル〉では東京駅復元に携わった建築史家の大内田史朗氏が特別にレクチャーを行う。〈三井本館〉では “東洋一の大金庫” と謳われた金庫や旧社長室などを見学できる。
〈Ginza Sony Park〉ガイドツアーでは今年中に完成予定の「銀座ソニーパーク プロジェクト」の最新状況をいち早く知ることができる。ラファエル・ヴィニオリ設計の〈東京国際フォーラム〉では屋上から船の竜骨構造のような巨大な梁を見下ろせる。いずれも、建築関係者であってもなかなか体験できない貴重な機会だ。 いつも前を通りがかる建築にも普段は見えない顔があり、携わった人々の思いが込められている。名建築がますます愛おしくなるイベントだ。
『東京建築祭』
2024年5月25日~5月26日(※一部、5月18日~5月24日に開催するプログラムもある)。開催エリアは日本橋・京橋、丸の内・大手町・有楽町、銀座・築地ほか。ガイドツアーへの抽選申込期間は4月26日まで(抽選後、空きがある場合は先着順にて受付)。実行委員長は倉方俊輔(大阪公立大学教授)。
text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano