【ライブレポート】Tani Yuuki、ツアーファイナルで5,000人のオーディエンスとシンガロング
■「これから先もっと大きな夢を叶えに行きます。あなたと叶えたいと思っています。だからどうか最後までついてきてください」(Tani Yuuki) 9月23日、Tani Yuukiが神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールにてツアー『Tani Yuuki Hall Tour 2024″HOMETOWN”』のファイナル公演を行った。 【画像】『Tani Yuuki Hall Tour 2024"HOMETOWN"』ライブ写真 5月にリリースしたEP『HOMETOWN』を引っさげてのツアー全15公演のファイナルの場となったのは、自身最大キャパシティとなる5,000人収容のホール。満員のオーディエンスを前に彼が見せたのは、アーティストとしてのスケール感を格段に増したTani Yuukiの今の姿だった。 開演時間を過ぎると、拍手と歓声に迎えられてTani Yuukiとバンドメンバーがひとりずつステージに登場する。アコースティックギターを抱えたTaniがひとりで「がらくた」を歌い始めると、藤田圭祐(Ba)、やまもとあきら(Dr)、Toshi(Key)、エリアスチアゴ(Gu)とメンバーがひとりずつ演奏に加わり、フォーキーでブルージーなアンサンブルを鳴らす。まず印象的だったのは逞しく骨太なバンドサウンド、そしてそれに負けじと力強く響くTaniのハイトーンの歌声だ。 「いくぜ横浜! 最高の一日にしましょう、どうぞよろしく!」と叫び、マイクを握りステージ前に歩み出て「もう一度」を情感たっぷりに歌い上げる。「その声、もっと聴かせてくれ!」と呼びかけオーディエンスのコール&レスポンスと共に披露した「多面態」や、バンドアレンジによって音源よりもダイナミックなバージョンに生まれ変わった「Unreachable love song」など、序盤からライブならではの迫力に満ちたパフォーマンスを見せていく。さらには「燦々たるや」や「愛言葉」などじっくりと歌声を聴かせる曲を続け、オーディエンスを惹き込んでいく。 神奈川県茅ヶ崎市出身で、通っていた高校が横浜にあったというTani。MCでは横浜駅周辺や赤レンガ倉庫で友達同士で遊んでいたという思い出を語り、「中学生のときの僕のお母さんとのエピソードを曲にしました。当時の僕が伝えられなかったありがとうとかごめんねを伝えられるように、そんな思いを込めて作った曲です」と「笑い話」を披露。地元に戻ってきたこの日のステージならではの感慨がこもったパフォーマンスを見せた。 中盤では「そろそろ声出したくないですか!?」とお客さんに呼びかけ「イェー!」のコールをまじえて華やかでチアフルなムードを醸し出した「ワンダーランド」、エレキギターをかき鳴らし歌った疾走感溢れるロックナンバーの「花詩」を披露。会場全体で盛り上がるような曲に続けては、スケールの大きな「運命」やピアノと共に丁寧に歌った「記憶」、エレクトロサウンドに伸びやかな歌声を響かせる「アンタレス」など、歌の魅力を真っ直ぐに伝える曲を続ける。“静”と“動”の緩急のきいた構成で、親しみやすさや、切なさや、力強さや、曲ごとに様々な表情を見せるボーカルの表現力で魅了する。 そして、ライブのクライマックスのひと幕となったのが、終盤に披露した代表曲「W/X/Y」だった。MCでは「こんな景色を見れるなんて思ってなかったです。本当にありがとうございます」と感謝を伝え、「お客さんのいないライブもあったし、一発屋なんて言われることもありました。俺にだって、いろいろありました」とこれまでの活動を振り返りつつ、「こうやってあなたと出会えたこと、すごく嬉しく思います。あなたと目を合わせて、心を通わせて、振り返ったときに全部意味があったな、無駄じゃなかったなって思えるから。俺は中学生のとき、真っ暗な部屋な中で、音楽にとてつもなく大きな光をもらいました。だから今度は俺が誰かの光になれるように、そう願って歩んできました」と決意を告げた。アーティストとしての信条を真っ直ぐに伝えた彼自身の言葉も、この曲のパフォーマンスの強い説得力につながっていた。 終盤はオーディエンスが飛び跳ねた情熱的なダンスチューン「We are free」から、全員がタオルを振り回し銀テープが舞った「夢喰」と続け、会場の盛り上がりは最高潮に。「めちゃくちゃ楽しい!」と笑顔を見せたTaniは、「そこに待ってくれる人がいるかどうか、会いたい人がいるかどうか、そこにいる誰かとの繋がりがふるさとだと思います」とツアータイトルの「HOMETOWN」に込めた思いを語り、本編ラストとなる「I’m home」を歌った。温かくおおらかなメロディで会場を包み込み、「最後はみんなだけで」と5,000人のオーディエンスのシンガロングを響かせステージを締めくくった。 アンコールを求める声に応えて再び登場したTaniはデビュー曲の「Myra」を弾き語りのイントロからたっぷりと歌い上げる。熱量高いダンスナンバーの「Life is beautiful」をダイナミックに披露し、「いちばんいいライブができたんじゃないかと思います。これ以上はないと胸を張れるくらいのツアーができたと思ってます」と、この日のステージの手応えを語った。 最後のMCでは、2020年に行った自身初のワンマンライブでの思い出を振り返ったTani。「俺には夢があります。いつか武道館に立って、アリーナに立って、ドームに立って、スタジアムに立って、海外でもライブがしたいです。地元・茅ヶ崎の球場でもライブがしたいです。心配してくれるばあちゃんを安心させてあげたいです。これから先もっと大きな夢を叶えに行きます。あなたと叶えたいと思っています。だからどうか最後までついてきてください」と、力強く宣言した。 アンコールの最後は「これだけは変わらず言い続けようと思います」と告げて披露した「おかえり」。最後には客電がつき、明るくなった客席に幸福な余韻が残るなか、ライブは終了となった。 アンコール含めて全20曲。Tani Yuukiというアーティストの真価、そして人間味としての魅力を堪能させてくれるステージだった。終演後には2025年12月15日に日本武道館公演が開催されることも発表された。この先に彼が歩む道が楽しみになるような一夜だった。 TEXT BY 柴那典 PHOTO BY 酒田吉博、渡邉一生 <セットリスト> 01 がらくた 02 もう一度 03 多面態 04 Unreachable love song 05 燦々たるや 06 愛言葉 07 笑い話 08 ワンダーランド 09 花詩 10 運命 11 記憶 12 アンタレス 13 決別の唄 14 W/X/Y 15 We are free 16 夢喰 17 I’m home ~ENCORE~ 01 Myra 02 Life is beautiful 03 おかえり ライブ情報 『Tani Yuuki Live at 武道館』 2025年 12/15(月)東京・日本武道館
THE FIRST TIMES編集部