<安彦良和>回顧展「描く人、安彦良和」インタビュー(2) 引退はしない 「ガンダム」映像化はもうないのか?
(インタビュー(1)の続き)アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを担当したことで知られ、マンガ家などとして活躍する安彦良和さんの回顧展「描く人、安彦良和」が、兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催されている。幼少期から現在に至るまでの安彦さんの創作活動の軌跡をたどる回顧展で、約1400点の貴重な資料を展示する。安彦さんに、創作の原点や転機、今後の活動について聞いた。 【写真特集】貴重なガンダム資料もお披露目! 安彦良和回顧展 写真を一挙公開
◇実はまだくすぶっているものもある
2018年にはシベリア出兵をテーマとしたマンガ「乾と巽-ザバイカル戦記-」をスタートし、今年5月に連載を終了した。同作は連載開始時に“最後の新連載”と告知された。
「“最後の新連載”は言葉の間違いだと思いますよ(笑い)。インパクトはありますけど。連載は大体5年くらいかかる。今の年だと、5年後は……と計算してしまう。きちんと最後まで描ける自信がない。だからもう長いものはやめておこうということです。ただ、マンガをやめたわけではないです。いいお誘いがあったらやります」
ファーストガンダム(『機動戦士ガンダム』)を再構成したマンガ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」のOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)では、約25年ぶりにアニメの現場に復帰。2022年公開の劇場版アニメ「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」でも監督を務めたが、自身にとって「ガンダム」の映像化は「これで最後かもしれない」「思い残すことはない」とも語ってきた。
「1989年に引退したつもりだったのですが、派手に引退宣言をしたわけではないですし。10年くらいたって『引退していたんだね?』と言われたり(笑い)。派手に引退宣言していないから、撤回するのも楽なんです。『THE ORIGIN』で復帰したけど、ファーストガンダム限定ですしね。思い残したことが一つあって『ククルス・ドアンの島』をやって、それで思い残すことはほぼないとは思っているけど、本当にないか?と言われると、実はまだくすぶっているものもあります。ただ、アニメはスタッフ、会社のバックアップがあってできるものだから、どうかな?と思っていますけどね」