捨てるのは忍びない服 次の人へ 手軽でエコなおしゃれの循環
捨てるのは忍びない大切な洋服を、誰かが着てくれたら―。そんな思いをつなぐ、服の譲渡会が広がっています。11月29、30の両日には、広島市安佐南区にある麻乃亭のレンタルスペースで「服のリユース会」が開催されました。会場には、着こなし方を提案するコーディネートも展示。おしゃれを楽しむことで洋服を循環させ、廃棄を減らす。そんなエコ活動、あなたも始めてみませんか。 10月にカインズ広島LECT店であった子ども服譲渡会(脱温暖化センターひろしま提供) 服のリユース会は、片付けや収納を手伝う「ライフオーガナイザー」の南方(みなかた)佐知子さん(49)=広島市東区=が呼びかけ、今回9回目。大半が40~50代の女性からの洋服で、素材や縫製がよく、デザインもすてきなものが多いという。会場では、来場者に魅力が伝わりやすいよう、数種類のお薦めコーディネートも展示する。 来場者は1人千円の参加費を支払う。服を最大10点持参し、同じ数だけ持ち帰ることができる。南方さんは「着なくなった服を整理することができる上、新たにすてきな一枚に出合うこともある。わくわくしますよ」と話す。 服のリユース会を始めたきっかけは、ライフオーガナイザーとして訪れた先での「似合う人がいるならあげるのになぁ」というお客さんの一言だった。クローゼットを整理していると、その女性は大切にしてきた服を手に、それぞれの思い出を話してくれた。南方さんは「あ、あの人に似合うな…」と知人の顔が次々思い浮かび、リユース会を思い付いた。 2020年12月の初開催以来、年2回続けてきた。来場者の参加費は会場レンタル料や寄付品の郵送代に充てている。最近は、同様のリユース会を開きたい、という人から運営方法を聞かれることも増えたという。 余った服は次回のリユース会に出すほか、古着を発展途上国の若者雇用支援や子どものポリオワクチン接種に活用する団体に寄付している。 大人向け衣料品だけでなく、子ども服の譲渡会も活発だ。広島県内の自然保護やリサイクルを推進している「脱温暖化センターひろしま」(中区)は企業と連携し、7月と10月に紙屋町地下街シャレオ(同区)やカインズ広島LECT店(西区)で無料の子ども服譲渡会を計3回開いた。新たな人に受け渡された洋服は1295枚に上ったという。 環境省の国内調査では22年に家庭から手放された衣類は69・6万トン(推計)。うち約7割の45・8万トンが廃棄され、リユースされるのは約2割の13万トンにとどまっている。
中国新聞社