「ヘッドライトが反射して眩しいんですけど!」……これって嫌がらせ? 銀色に輝くトラックの泥よけは安全のためだった!!
ステンレス素材の板は後続車への配慮
ドライバーならば夜間の高速道路を利用したことが一度はあることだろう。普通自動車の免許を取得している人はもちろんのこと、家族や友人たちとの旅行の際に助手席や後部座席に乗ったことがあるという人も、たくさん存在するはず。その際に、たくさんのトラックたちに圧倒された経験をお持ちではないだろうか。私たちの暮らしを守るべく、トラックたちは夜を徹して荷物を運んでいるのである。 【写真】ネオクラブームはここでも! トラックの世界でも旧車が人気だった そんなトラックのなかには、車体の後部に取り付けられている泥除けにステンレス素材の板を取り付けてあるケースが多い。そしてそれが後続車のヘッドライトに反射してしまうため、眩しくて迷惑だという声が多い。泥除けとは風で揺れる構造となっているため、不規則に反射してしまうのだ。しかし、もちろん嫌がらせ目的で装着しているものではない。ここでは、その存在意義をお伝えしよう。 トラックに取り付けられている泥除けは、基本的にEVA素材というゴムに近いもので製作されている。リヤフェンダーや専用のブラケットに固定されるのだが、構造上、上部しかボルト&ナットで固定することができない。そのため、速度を出すことで風量が増し泥除けの下部が大きく捲れ上がってしまうのだ。それを防ぐために、ステンレス素材の板(ウエイト)を取り付けているのである。 いわゆる“重し的な役割”を果たしているのだが、これがなければ後続車に水や泥、そして石などを巻き上げてしまう。つまりステンレス素材のウエイトは嫌がらせなどではなく、むしろ後続車に対する配慮であるわけだ。 ならば、ヘッドライトの光が反射しない鉄でも良いじゃないかという声が聞こえてくるようだが、鉄は雨や融雪剤の影響によって錆びやすい性質を持っている。そのため、経年劣化によって一部もしくは全部が後方へと飛んでいってしまう危険性が高まる。そんな機能や特徴から、重さがあり耐久性に優れたステンレスが採用されているのである。 トラックにステンレス製のアイテムを装着するとデコトラ愛好家だと思われてしまうかもしれないが、じつのところはそうではない。むしろ本格的なデコトラ愛好家たちは、厚みがある素材の泥除けを装着したり、オリジナルのガードを取り付ける傾向にあるため、近年ではウエイトを採用しないケースが多くなっている。 どのような理由があろうとも、泥除けのウエイトが後続車にとって眩しいという事実は変わらない。しかし、それは嫌がらせなどではなく、後続車の安全を守るために存在しているものなのだという事実を踏まえたうえで、受け入れてもらえたらと願いたい。相互の理解を深めて、トラックと乗用車が気もちよく共存できる交通社会を目指したいものである。
トラック魂編集部