【独自取材】「知事は自分を知事様と思っている」死亡した元幹部と親しかった元県職員の証言 斎藤知事パワハラ疑惑めぐる“告発者さがし”の実態とは
3月に行われた“告発者さがし” 人事課は「同意の上で」と説明したが…
この会話が交わされた頃、県の人事課は“告発者さがし”に着手しました。3月25日には、副知事(当時)らが西播磨県民局へ出向き、元幹部が使っていたパソコンを回収。のべ8時間に及ぶ聴取を経て元幹部を告発者と特定します。人事課は当時、これら全ての調査について元幹部から「同意を得て行った」などと説明。 その一方で、調査が元幹部への懲戒処分を前提に進められたことも明言しました。 (人事課の担当者 5月7日)「人事当局としては、懲戒処分を前提とした調査を行うにあたって、関係者の供述だけではなく、裏付けとなる物的な証拠もできる限り集めています。のべ8時間にわたる聴取を丁寧に行っているので、我々としては適切な調査を尽くした」 しかし、元県職員によりますと元幹部は「プライベートで使用していたUSBまで根こそぎ持っていかれた」などと強引な県の調査の実態を語っていたといいます。 【元県職員取材時のメモより】 (元県職員)「人事課の発表では、パソコンの回収も『同意の上で』となっているが、元幹部は『不意打ちだった』と言っていた」
専門家「名前が暴露されるということは、制度自体を揺るがす」
実は、元幹部は処分の1か月前に、県の公益通報制度を利用し、一連の疑惑を内部通報していました。 一方で県は、元幹部が内部通報を行う前に文書を配布しているため、保護の対象にはならないと判断。 また、MBSが行った情報公開請求では、県の調査に協力した弁護士が文書を「居酒屋などで聞いた単なる噂話で作成した」などと指摘していたことが分かりました。 制度に詳しい専門家はこう話します。 (淑徳大学 日野勝吾教授)「まず、内部通報の窓口で受理している以上は、この手続きの流れで調査すべきだったわけです。完全な誹謗中傷であれば処分に値するかもしれませんが、真実相当性もあるということであれば、そこはやはり、人事の対応は待った方が良いし、そもそも、人事上の処分はできなかったと思います」 また、元幹部が3月に報道機関などに対して行った匿名の外部通報の時点で、公益通報に該当する可能性があり、県が行った“告発者さがし”にも違法性があるといいます。 (淑徳大学 日野勝吾教授)「しっかりと通報者・告発者を保護するという観点が必要。やはり声を出す側からすれば、非常に勇気が要ることですから、名前が暴露されるということは、制度自体を揺るがす問題だと思っています」