ヒョンデ「IONIQ5N」モータースポーツで培った技術を体感できる高性能EVだった
また、運転席パネル中央にあるディスプレーで様々な設定ができるが、アクセルやブレーキの踏み込み具合をパーセントで表示もしてくれる。日常の走行ではあまり必要ないが、レース場の走行では様々なデータとして活用できるだろう。
車体重量が重いことは高速走行では安定性につながる。レースにも対応できるほどコーナリング性能が高く、高速道路の車線変更やカーブを曲がる際はクルマがぶれることもなく、適切かつ効率良く走行してくれた。
ボディー剛性を強化、レース用の機能も多彩
「IONIQ5N」は、ベース車両の「IONIQ5」より、スポット溶接の箇所を増やすなどしてボディー剛性を高めているという。レース走行では車体に負荷がかかると、しなりなどの歪(ゆが)みが出て、ハンドリングやサスペンションなどの性能に影響がでる。その影響を減らすのが、ボディー剛性だ。日常の走行では、十分すぎる性能といえる。
また、ハンドルの右側に赤い「N Grin Boost」というボタンがある。通常の最大出力は448kW(609馬力)に設定されており、これを使うと10秒間だけ本来の最大出力478kW(650馬力)に上昇する。周囲にクルマがいないタイミングを見計らって試してみた。作動させる前と同じアクセルの踏み込み具合なのだが、ものすごい加速であった。
このほか、ドリフトコントロールしやすい設定などもあるが、さすがに今回の試乗では試す場面がなかった。
シートも前席(運転席、助手席)は体を包み込むような形状で、スピードを出しても傾くことはない。一方、後席は普通の形状なのでスピードや運転によってはやや不安定になるだろう。
韓国車というと足回りが柔らかめという印象がある。足回りが柔らかいとは、サスペンションが路面の凹凸の衝撃を吸収しやすいように設定されていて、ふわふわとした乗り心地のことを指す。しかし、レース仕様の上、サスペンションがN専用電子制御のものを搭載しており、そういう印象は一切なかった。