横浜駅弁「シウマイ弁当」が70年愛される、その理由とは?
●「蒸気炊飯」の背景にあった、ご飯1粒1粒を大切にしたい思い
―なぜ、シウマイ弁当のご飯は、おこわのような「蒸気炊飯」なのでしょうか? 野並:弊社も当初は、普通にご飯を炊いていたのですが、「おこげ」が課題になりました。おこげが出来るとその部分を捨てなくてはならないため、もったいないと考えられるようになったんです。そこで、おこげが出来ない炊き方を考えて出てきたのが「蒸気炊飯」だったんです。「シウマイ弁当」は、当初から“最高品質の米”を謡って発売しました。なお、現在、弊社の通常弁当における米は、ブレンド米を使用しています。 ―記憶に新しいところで、令和4(2022)年には、鮪の漬け焼の調達が難しくなり、鮭の塩焼きとなった時期がありました。食材の調達にもご苦労が多いのでしょうか? 野並:弊社としては現在の「シウマイ弁当」が一つの完成形として製造に当たっています。ただ、どのタイミングで食材調達が難しくなるかどうかは全く分かりません。2023年も鳥インフルエンザの大流行で卵の供給不安があり、弊社の様々な弁当で変更を余儀なくされました。今後も社会変化に合わせて出来うる手段で対応を取り続けるしかないと思います。現在の950円という価格も、いまの時代に合わせた価格設定だと考えています。
●お客様との対話を重ねて、常にベストな「シウマイ弁当」をお届けしたい!
―「シウマイ弁当」を今後、“進化”させるとしたら、どこを進化させたいですか? 野並:もしも、進化させる答えを弊社が持っているとしたら、今すぐ進化に取り組んでいなければ、お客様に対して失礼ではないかと思います。いまの「シウマイ弁当」はベストだと思って販売しておりますが、例えば、今後も950円でお届けできる構成に変えていくのがいいのか、原材料費が上がっても今と同じ構成で1000円台くらいに価格を改めてお届けするのがいいのか。そこは、お客様との対話で決まっていくものだと思います。 ―お客様との対話は、どのようにして行っていますか? 野並:弊社では、いまも多くの店舗で「対面販売」を行っています。例えば、コロナ禍では、お客様がお見えにならなくなったのが分かりましたし、シウマイ弁当で鮭の塩焼きを入れざるを得なくなった際は、大変多くのお客様に店舗にお並びいただきました。もちろん、弊社の商品・サービスについて、お客様がどのように感じていらっしゃるかを相対的に見たり、お客様の声が直接届く窓口もありますので、そういったところも活用しています。