京都市ケアラー条例 市民と議員一体で制定 市民団体が公開学習会
京都市議会で11月6日、議員提案による「ケアラー支援条例」が全会一致で可決成立し、11日施行された。ケアラーに関する条例施行は全国で31番目だが、市民によるボトムアップで成立した経緯が注目される。日本語になじめない外国語を話す人へのケアラーも、支援対象として明記した。中心となった市民団体「ケアラー条例をつくろう!ネットワーク京都(京都ケアラーネット)」は23日、公開学習会を開いて、今後の施策への道筋などを示した。 ■「財政上の措置」明記 「ケアは社会の存立の基礎的な条件として尊重されるべきものであり、ケアを担うケアラーもまた尊重されなければならない」 条例の前文で、ケアの社会的価値を明記した。 条文ではケアラーの定義をより広く捉え、ヤングケアラーのこども期を「18歳未満」としている国の定義に対して、「おおむね18歳未満」と幅を持たせた。 外国人の増加も視野に入れ、ケアラーの定義に「使用する言語等により援助を必要とする親族などをケアする者」を加えたのは、京都が初めてだという。 支援施策の実施についても、他の自治体に多い「努力義務」ではなく、「必要な財政上の措置を講じる」と踏み込んだ。 市民が議会を動かした ■市民が議会を動かした 京都は44年前の1980年に「認知症の人と家族の会」の前身が設立されるなど、ケアラー支援に先駆的で、認知症、障害児者、不登校、引きこもりなどのケア当事者と支援者による市民団体が数多く活動している。 2022年4月、そのうちの19団体代表者らが集まり、「京都ケアラーネット」を発足させた。当事者や有識者を招き計10回の公開学習会を開催し、市民と共に支援条例成立への機運を醸成した。 今年5月、京都市議会の全議員が同ネットの呼び掛けに賛同して超党派によるプロジェクトチーム(PT)を結成。600件以上のパブリックコメントを盛り込んで条例案を作成し、可決にこぎつけた。 23日の公開学習会には、オンラインを含めて100人以上が参加。埼玉から日本ケアラー連盟の堀越栄子代表が、長崎からごうまなみ県会議員が駆け付けた。東京からはオンラインで岸本聡子杉並区長が参加するなど、京都市への期待は高い。京都市議会PT代表の寺田一博議員は「条例成立はゴールではなくスタート。行政各部局が連携できる組織体制ができるまでPTメンバーが責任をもって関与していく」と約束した。