中国車が売れるわけ 政府の産業育成で拡大、カラオケなど車内エンタメ機能で差別化も
【北京=三塚聖平】中国市場では、急速に進む電気自動車(EV)などからなる「新エネルギー車」への販売シフトを追い風に中国車が販売を伸ばしている。 中国政府が2015年に策定したハイテク産業の育成策「中国製造2025」で新エネ車の国際競争力を高める方針も示された。ガソリン車で日系などの外資系メーカーがシェアを守る中、新エネ車という新分野で国内外メーカーの力関係を一変させるという青写真を描いたとみられる。新興メーカーの育成支援のほか、新エネ車の購入補助を充実させて新エネ車シフトを進めた。 現在、中国では百数十社の新エネ車メーカーが存在するとされ、生き残りをかけて価格競争が激化したことも市場拡大につながった。車載電池で世界シェアトップの寧徳時代新能源科技(CATL)など国内のサプライチェーン(供給網)が整備されていることも中国車の強みだ。 航続距離などで差異化することが難しくなる中、中国の消費者はカラオケやゲーム、音声操作や人工知能(AI)といった車内のエンターテインメント機能を重視するようになった。北京の中国メーカー販売店の男性スタッフは「音声通話中心の携帯電話が、アプリの利用を中心としたスマートフォン『iPhone(アイフォーン)』にシフトしたような変化が起きている。EVを購入したユーザーは以前のようなガソリン車には戻らない」との見方を示す。