子供の「自信」を高める「ライトハウス・ペアレンツ」のススメ──どっしり構え、ときに「何もしない」子育て
介入よりも“承認”が必要なときもある
生物学的に、私たちは子供たちを苦しみから守りたいと考えるようにできている。したがって、子供たちが苦しむ姿を見るのは堪え難い。そこでしばしば親が本能的にとる行動が、子供の行く手から、親にとっては容易に乗り超えられるが、子供には困難そうな障害物を取り除こうとすることだ。 こうした衝動から、子供の危機にすぐ駆けつけようとする「ヘリコプター・ペアレント」や、子供の前に立ちはだかる障害物を除雪車(スノープラウ)のように取り除こうとする「スノープラウ・ペアレント」といった押しの強い育児スタイルにまつわる言葉も生まれた。親が自分に代わって介入することに慣れてしまった子供は、やがて自分には考えて行動する力がないと思うようになり、それは子供の不安と依存を助長していく。 そこで私が推奨したいのが、小児科医のケネス・ギンズバーグらが提唱する「ライトハウス・ペアレント」だ。灯台を意味する「ライトハウス」型のこの子育てにおいて、親は子供の人生の局面を一から十までコントロールすることはせず、灯台のように常にどっしりとした信頼できる案内人として、子供に安全と明確さを与えることができる存在だ。 たとえば、子供が学校から沈んだ様子で帰宅し、「翌週締め切りの大きなグループプロジェクトがあるが、そのすべての作業を自分がやっていること」に不満を感じていたとしよう。このとき、過干渉な親は矢継ぎ早にどうするべきかを提案しようとする。「グループの他の子にも、それぞれやるべきことを割り振ってみたらどう?」、「自分がやったすべての箇所の隣に名前を書いて、先生にちゃんと認めてもらうべき」、「あなたが全部やっているということを、私から先生にメールしておくから」など。 だが、これらの提案はいずれも症状に対処することはできても、根本的な問題は解決できない。さらにこれは、気づかないうちに子供に対して、あなたには親の介入が必要だというメッセージを伝えることになる。 ときとして、子供が必要としているのはただ認めてもらうことだ。「ああ、それはやることたくさんあって大変だね」、「本当に頑張っているのがわかるよ」「自分はどうしたいかは考えている?」といったように。 船乗りが岩に衝突しないよう照らしてくれる灯台のように、ライトハウス・ペアレントは子供たちが課題を自分自身で乗り超える自由を与えながら、しっかりとした制限を設けつつ、精神的なサポートを提供する。彼らは、子供たちが困難な状況に自力で対処できることを信じ、それを示そうとする。重要なのは、どんなときに一歩引いて、子供に自分のやり方を見つけさせるかを学ぶことだ。
Russell Shaw