<万里一空・彦根総合23センバツ>支える人/4止 北野力顧問 指導丁寧、頼れる兄貴分 /滋賀
尊敬する恩師、宮崎裕也監督(61)を追って彦根総合に来たのが北野力顧問(30)だ。寮監も兼務し、選手に最も近い兄貴分として慕われる。 宮崎監督が率いた県立北大津高で3年時に夏の甲子園に出場。宮崎監督の母校・中京大に進み、社会人野球で4年間プレーした後は野球から離れていた。2020年、宮崎監督から「野球の世界に帰ってこないか」と誘われ、猛勉強の末に教員免許を取得。昨年度から彦根総合の保健体育教諭となった。 宮崎監督の背中を追い続けてきたのは「人を第一印象で判断しない」からだ。中学時代のチームは大柄の選手を起用する方針で「小柄な自分はレギュラーとして使ってもらえなかった」。しかし宮崎監督は実力を付ければメンバーに選んでくれた。そしてどんな相手でも正面から向き合ってくれた。 指導者として教える立場になったが、監督からは多くを学ぶ日々だ。「矢継ぎ早に野球の知識を教えるのは自己満足に過ぎない。教え魔になるな」と言われ、選手を観察しながら必要なタイミングで助言するように心掛ける。2人を見てきた山田光義コーチ(66)は「選手を指導する時は遠くから叫ぶのではなく、間近で目を見ながら話すところが同じだ」と話す。 グラウンドでの練習が終わっても、寮で選手たちの自主練習に付き合い、選手たちからは「力さん」と次々に相談を受ける。丸山智史選手(3年)は「教え方がわかりやすくて相談しやすい。将来は北野さんのような体育教師になりたい」と自身も選手たちの目標になりつつある。【飯塚りりん】=おわり