「いま辞めたら何者でもない…」解散危機を乗り越えたガクテンソクが掴んだ優勝
◇『THE SECOND』優勝の一因は“上京したこと” ――昨年4月に東京に拠点を移しました。 奥田:タイミングに関しては本当にいろいろあって……。もともと、M-1のラストイヤーが終わったタイミングで、東京には行きたいなと思ったんです。だけど、使い勝手がよかったのか、会社にやんわり引き止められました。引き止められたんかな?ってくらい、やんわりと。 それも「単独ライブやりましょう」って2月に言われて、その話はうれしかったんで「ほな、やりましょか?」って返して。で、「お客さんは入ると思うんですけど、もっと増やすために、もうちょっと大阪の出番を増やしていきましょう」みたいな感じで、徐々に11月ぐらいまで予定が立っていったので、“なるほど、そういうことか!”と。 ――大阪もお二人を手放したくはなかった。 奥田:そうなんですかね? で、その単独が終わったタイミングで「来年は上京してもいいですかね?」って社員さんに聞いたら、“じつはここだけの話なんですけど……”みたいな感じで「2022年の4月に『伝説の1日』っていうライブがあって、そこでもうNGKの出番でガクテンソクさんの名前も入ってるんですよ。それがもう入っちゃってるんで……」って。 おいおい、会社も大勝負に出たな。たった1日のために上京を待てって言うんか……と思ったんですけど。 ――(笑)。 奥田:僕らもあまり歓迎されないまま上京するのも不本意なんで、そこはわかりましたと。ただ、次の年には東京に行くので、そこはよろしくお願いしますと。それで昨年の4月になったんです。 よじょう:「別にわざわざ東京に行かんでもええんちゃう?」ってみんなが言ってるなか、メッセンジャーのあいはらさんだけは、「いいタイミングやと思うで」と言ってくれました。でも、「1回行ったら、もう帰ってこれないよ」とは言われましたけど(笑)。 奥田:「東京に行くんやったら、裏切り者やと思うからな」とはっきり言われて、あいはらさんのそれは冗談やと思うんですけど、ほんまに上京してから1年間は、大阪の番組に呼ばれなかったですね。まあ、僕らの往復の交通費を出すくらいなら、未知の東京の芸人さんを呼んだほうがチャレンジできるわけやし、僕が使う側でもそう思うでしょうし。 ◇いつまでも吉本の扶養家族じゃいられない ――大阪から東京に、環境を変えたことでネタに変化はありましたか? 奥田:メッセンジャーの黒田(有)さんとか、笑い飯の哲夫さんには「東京に行く前とはめっちゃ変わった」って言われました。「よじょうのパワーが上がっていて、これまでは奥田が強すぎたのが、優しい感じになってる」と言ってくださいました。 「これまで9:1ぐらいで見えてたけど、奥田が6.5あって、よじょうが3.5かと思いきや、4.5くらいある、めっちゃいいやん!」って。結果10を超えるくらいに見えてるなら、それはスゴくええことやなと思いました。 よじょう:自分ではわかんないんですけど、黒田さんには「なんか、めっちゃ自信をもってボケるようになったな」って言われました。真顔で「変な薬でもやったんか?」って(笑)。 奥田:それでも、そんな変わるんか?って思いますけど(笑)。 よじょう:でも、いい感じの影響があったんだと思います。 ――客席の雰囲気とかも違うんですか。 奥田:お客さまの笑うポイントは違いますね。体感なんですけど、大阪はツッコんだあとに笑うので、ツッコミが強くなりがちなんです。東京のお客さんは、それぞれが好きなところで笑うんですよね。だから、ツッコミを待たずに笑いが起きる。ボケでウケてるのに、そのあとヤイヤイ怒ってたら“あいつ、なんやねん! うるさいわ”ってなるじゃないですか。それで、たしなめるようなツッコミに変わりました。 ――最後に、これからのガクテンソクとしての目標を教えてください。 奥田 今はいろんな仕事をさせていただいてるんですけど、2周目で呼んでいただけるところは、たぶん「チャンピオン」じゃなく「ガクテンソク」として呼んでもらえると思うので。僕一人だったり、よじょうだけだったり、というのも増えてくると思うんです。というか、増えていかなあかんと思いますし。 それぞれ立場を作りながら、劇場出番もあったらいいですね。“さあ、今日は何しましょうか”みたいな感じになれたらいいなと思います。まあ、なんせ、この1年ががんばりどころって感じですね。 よじょう 本当にそれが全てですね。知名度を上げる作業って、やっぱテレビが一番なんで。テレビで見た“この人たちを見たい”から劇場に行きたいって人を増やさないと。いつまでも吉本の扶養家族じゃいられないので。 奥田 たしかに、もう来年20年目で、お笑い芸人としても成人式ですから、そろそろ扶養から外れないとな。 (取材:梅山 織愛)
NewsCrunch編集部