獣害対策にICT 課題は通信費、低コスト装置の開発を福知山市が公立大に委託
■山本教授と学生、役割分担して試作機
委託業務は、狩猟免許を持つ公立大情報学部の山本吉伸教授が引き受け、ゼミ生で2年の海野紗綾さん、安永泰成さん、倉科空明さん、1年の関戸キビさんの4人と仕組みの開発を進めている。 5月から役割を分担しながら、プログラミングなどで仕組みを構築し、毎日のように放課後、それぞれの成果を持ち合って意見交換をしてきた。すでに試作機が仕上がっている。 カメラがわなに近づく動物を検知すると、事前に登録された住民ら管理者のLINEに通知があり、通知画面からアクセスするホームページで動画が見られる仕組みになっており、ホームページにわなを作動させるボタンも表示される。 市有害鳥獣駆除隊員がボタンを押すことで、わなに設置された装置が動き、止め具を外してとびらが閉まる。通信費の課題になっている「わな側からのインターネットへの接続」は、動物が来た時だけ通信するようにするなどの工夫で削減。映像の画面と実際の状況が数秒ズレることで捕獲に失敗することがあったが、開発装置ではズレを1秒以内に抑えられるように改良した。 チームの調整役を担う海野さんは「地域では獣害が本当に問題になっていると感じます。課題はまだありますが、役に立てるように頑張りたい」と熱意を燃やす。
■秋ごろから大江で実証実験
学生たちは6月6日、市獣害対策モデル地区になっている大江町毛原を訪れ、実際に設置された檻わな、柵わなの見学をした。安永さん、関戸さんは「初めて見るタイプのものもあり、防水機能や強度などを考え、本物と同じ条件で装置が作動するようにしていきたい」と意欲を見せる。 秋ごろから毛原で実証実験に取り組み、今年度中には実用可能な装置を完成させる予定。山本教授(57)は「地域でのフィールドワークなど、普段の研究ではできない体験ができてありがたい。地域のニーズに応えていきたい」と話している。