インドに輸出の計画 海上自衛隊の救難飛行艇「US-2」とは?
小野寺五典防衛相がインドを訪れ、海上自衛隊で使われている国産の救難飛行艇「US-2」をインドに輸出する方向でインド側と一致したと報じられています。中国のメディアは「武器輸出三原則に反する」と報道。防衛省は「救難のため武器には当たらず、武器輸出三原則には抵触しない」(時事通信2013年12月20日)という立場を取っています。そもそもUS-2とはどんな航空機なのでしょうか? [図]中国が尖閣上空に「防空識別圏」
US-2は、海上自衛隊が運用する海難事故の救助活動を目的とした飛行艇です。武装はありません。飛行艇というのは、陸だけでなく海でも離発着できる飛行機のこと。兵庫県宝塚市に本社を置く新明和工業が生産し、2007年3月に配備。現在は山口県・岩国基地と神奈川県・厚木基地に計5機あります。 4基のプロペラエンジンを搭載しており、巡航速度は時速約480キロで、航続距離は約4500キロメートル。巡視艇と比べて速く救難現場に到着でき、ヘリコプターよりも広範囲に活動できるという特徴があります。3メートルの高波でも救助活動が可能で、2013年6月には、宮城県沖1200キロの地点で漂流していたアナウンサーの辛坊治郎さんらを救助したことで有名になりました。 新明和工業は、戦前に航空機を作っていましたが、戦後、GHQによって航空機の製造が禁止されると、水中ポンプやパーキングシステムを作ることで民需転換に成功しました。航空機の生産技術は、US-2に引き継がれています。 インドに輸出する目的について、1月7日のテレビ東京は「中国と領土問題を抱えるインドと連携を強化することによって中国をけん制する狙い」があると伝えています。2013年12月には海上自衛隊はインド海軍との共同訓練をインド洋で実施しており、今年は日本で行うことで合意しています。