ノボとイーライリリーに売り、バイデン氏が肥満症治療薬の値下げ要求
（ブルームバーグ）： ２日の取引で、製薬大手ノボ・ノルディスクとイーライリリーの株価が下落。需要が急増している両社の肥満症・糖尿病治療薬について、バイデン米大統領が値下げを要求したことが嫌気されている。
バイデン氏はサンダース上院議員と連名でＵＳＡトゥデー紙に寄稿し、両社が他国での販売価格を上回る「法外に高い価格」を請求していると主張。その上で「製薬会社が米国での処方薬価格を大幅に引き下げることなく、貪欲さを維持するなら、われわれは全力を尽くしてそれを終わらせる」と述べた。
コペンハーゲン市場でノボの株価は１％下落して終了。一時は3.9％まで下げ幅を広げた。米イーライリリー株価も一時は3.9％安まで売られたが、ニューヨーク時間正午すぎの段階では約２％まで下げ幅を縮めている。両社ともコメントの要請に応じなかった。
ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが激戦州の有権者を対象に行った５月の世論調査によると、ヘルスケアに関してバイデン氏を信頼するとの回答は45％と、トランプ氏の39％を上回った。医療費に限ればバイデン氏は44％と、トランプ氏を４ポイント上回った。
みずほのジャレッド・ホルツ氏はリポートで、バイデン氏の発言は「特定の有権者の要求を満たすことを狙った瀬戸際作戦」のようだと指摘。糖尿病、心臓病、その他の疾患における薬の効果を考慮すると、月間およそ1000ドル（約16万円）のコストは「むしろ非常に安価に思える」と述べた。
薬価を巡る論争は今年、ノボの本国デンマークにも波及。サンダース氏は同国の主要紙でノボに値下げを迫るようデンマーク国民に呼びかけた。同国は最近、糖尿病治療薬「オゼンピック」患者を一段と安価な薬に移行させるよう医師に要請した。
原題：Novo, Lilly Slip as Biden Urges Price Cuts on Obesity Drugs (3)（抜粋）
