【MotoGP】バニャイヤ、FP1終了直後の奇妙な転倒を説明。「抜かれた後に怖くなって、フロントを失ってしまった」
ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤは、MotoGP最終戦ソリダリティGP初日を首位で終えたが、FP1ではセッション終了後に奇妙な形で転倒した。 逆転タイトル獲得を目指すバニャイヤは、金曜午後のプラクティスを首位で終えるなど結果からみれば順調な滑り出しを見せたが、FP1ではまさかの転倒を喫した。 バレンシアGPが豪雨災害で中止となり、バルセロナでの代替開催となった今回のソリダリティGP。コンディションが5月のカタルニアGPとは大きく異なることもあってか、FP1のセッション後には再びライダーたちがコースインし、スタート練習をする時間が設けられた。 しかしバニャイヤはリヤタイヤが大きくホイールスピンし、うまく加速できず。すぐに車速を落としてターン1に向かった。しかし背後から、アプリリアのマーベリック・ビニャーレスが高速で接近した。 アウト側からほぼレーシングスピードで走るビニャーレスにオーバーテイクされたバニャイヤは、フロントタイヤをロックさせて転倒してしまった。幸い、ランオフエリアに投げ出されたバニャイヤはアスファルトを滑り、無傷で済んだ。立ち上がったバニャイヤはオーバーな身振り手振りでビニャーレスに怒りを示していた。 バニャイヤは自分の視点から何が起こったかを説明し、マシンを必要以上にスローダウンさせたことを認めた。 「リヤタイヤがスピンしてスタートをミスしてしまったし、エンジンも限界にきていたから、(何が起こるか)わからなくてプッシュしたくなかったんだ」 「あれほどスピードを落としたのは僕のミスだ。でも正直なところ、あれだけ速くいくならインサイドにいくべきだ。イン側にはたくさんのスペースがあったんだ」 「彼のバイクの音が聞こえ始めたので、インサイドから行くのだろうと思った。でも彼が普通のスピードでアウトから縁石に乗り、バイクが動いているのを見た途端に怖くなって、ああいう形でフロントを失ってしまった」 「このタイヤを履いたバイクは急な方向転換を嫌うんだ。スムーズな方向転換が必要なんだ。僕はそれができなかった」 現在のMotoGPバイクはスタート時、うまく加速するためにサスペンションを固定し車高を低く保つホールショットデバイスを使用しており、その解除のためにもターン1では強くブレーキをかける必要があることも、速度差が生まれた一因となったようだ。 ビニャーレスは、ターン1への進入でバニャイヤをパスしたときに十分なスペースを与えたと感じ、バニャイヤがビニャーレスの速さにびっくりしてハードブレーキングをしすぎたようだと語った。 「誰かのミスじゃない。スタート練習はスタートを練習するためのもので、1コーナーでは(ホールショットデバイスを)解除するために、ブレーキを遅らせるものだ」 「ペッコ(バニャイヤ)はコースの真ん中にいて、とても遅かった。彼を避けようとしてアウト側に出たけど、2台分のスペースはあった。すごく至近距離でパスしたわけでもなかったんだ」 「クラッシュを見たとき、もしかしたら僕が彼を”クラッシュ”させたのかもしれないと思った。でも、リプレイを見たら、十分なスペースがあった。彼は怖くなったんだと思う」 「彼はブレーキを掴んでフロントタイヤをロックさせたが、クレイジーだった」 レーシングラインを離れてイン側に移動してオーバーテイクすべきだったというバニャイヤの指摘に対しては、「どうやって(イン側に)行けばいいんだ?」と彼は答えた。 バニャイヤはタイトル争いのライバルであるホルヘ・マルティン(プラマック)に24ポイント差をつけられている。プラクティスでは最速タイムをマークしたバニャイヤだが、もしスプリントのスタートで出遅れれば、決勝レースを待たずして逆転チャンピオン獲得の権利を失うこともありうる。 今季何度か同じようなシチュエーションでスタートをミスしているバニャイヤ。転倒のことよりも、いかにスタートをうまく決められるかに注意を向けているだろう。