市立前橋が目指す「選手がやっていて楽しい、見ていても楽しい繋がりのあるサッカー」
8月17、18日の2日間で行われた2024横浜サッカーフェスティバルU-18に出場し、2勝1敗の成績で終えた市立前橋。18日の試合では国士舘を相手にスタートから鋭いビルドアップを武器にチーム全体で前への推進力を魅せ3ゴールを奪った。 【フォトギャラリー】市立前橋 vs 国士舘 「繋がりというのをチームのテーマとして後ろの最終ラインからFWまでをビルドアップして、動かすだけじゃなくて前進していく、選手がやっていて楽しい、見ていても楽しい、それが(最終的に)一つの一体感を生み出すということをめざしてやっています」と、この大会でチームの指揮をとった安部源コーチは話す。 確かに見ていて楽しい。選手全員のベクトルがあらゆる方向から真っ直ぐにゴールに向かっている。特にゴール前では隙あれば距離に関係なく積極的に打ってくる。見ているだけで元気が貰えるサッカーだ。 「でも取りきれていないんですよね(笑)。今日も決めきれていないのが今の力だよと選手には言いました。今日もプラス3点くらいは取れていると思いますので…決めきれてないところを選手権も始まりますので、例えば3-1で1点取られてしまえば、相手にまた勢い取られてしまうので、相手をどれだけ落とせるのかをもっとやらないと、相手の息の根が残っているうちはわからないよと選手にも伝えました」と話す通り、安部コーチが満足する域には達していない。加えて「奪い切る力と強度の部分ですかね。攻撃から守備に入るところ、切り替わるところの強度が欲しい。そこは今回横浜に来て(私も)勉強になったところですね。そこは選手たちにも感じて欲しいです。切り替えの部分とか球際に強くとかを入れていかないと一発勝負ではなかなか勝てなかったりするので…」 群馬県内の戦いはとにかく熾烈だ。プレミア勢の前橋育英、プリンス勢の桐生第一、高崎経済大学附属、更にインハイ出場校の共愛学園等々、強豪がひしめく。 「何とか選手権でベスト8、リーグ戦では今2部にいますが、そこから1部に上がっていくことを目標としてやっていかないと思っています」と具体的な目標を掲げる。 「そのためには今日の試合のように(外してしまった)PKもそうだし、その前の過程を仕留められないといけないと思います。巧さがあって強度がある相手に対して自分たちがどれだけできるかが今回来た目的でもあったので、その中でできなかったところもあったので、例えばパスの質だったり、どっちの足につけたら次の人が進みやすいとか、そういうところは(選手たちも)感じたと思いますし、今後に繋げていって欲しいと思います」 選手たちも「後ろから繋ぐだけで今までは終わっていましたが、攻撃力にも意識をして良い形で得点も取れてきました。しっかり繋いでから攻撃が出来てきています」(FW30中島慶音)。「自分たちのパスサッカーというチームスタイルで良いサッカーができてゲームをコントロールできて良かったです。スピードを活かした縦への推進力が自分の武器ですが、物足りなさもありますができてきたと思います」(FW75金井健太郎)と手応えを感じている。 安部コーチも「やるのは選手たちなので、やらされるのではなくやるというところを練習の中からぜひ見せて欲しいです。指導者側はそこのジャッジをする、良いところ、そうじゃないところを見極めていきたいと思います」と、選手たちに期待を寄せる。 選手がやっていて楽しい、見ていても楽しい繋がりのあるサッカーで群馬に旋風を巻き起こせるか?中島も「群馬は結構蹴ってくるチームが多いので、それに飲まれず、自分たちはしっかり繋いで崩すことを心掛けて強豪校を倒していきたいです」と意気込む。この秋の市立前橋に注目したい。 (文・写真=西山和広)