レバノン映画『判決、ふたつの希望』が世界中で大ヒットの“ふたつの理由”
映画のヒットに、トランプ大統領就任が大きく影響している?
―――世界的な映画祭での高評価、多くの人たちからの絶賛の声。これらをどう受け止めていますか? ドゥエイリ監督:この作品の脚本はトランプ大統領が就任前に書きました。いまとくに映画には、トランプ前、トランプ後で差が生じていると思います。それがトランプ後にみなさんに観て頂いたこの作品が多くの方に響いている理由のひとつだと思います。でもそれはたまたまこのタイミングになっただけ。例えばこの映画がスペインで公開されたときも、スペイン国内からものすごくエモーショナルな反応がありました。折しも、カタルーニャの独立問題、スペインが抱えている問題に、スペインの方たちがこの映画の登場人物を重ね合わせて観てくれたからなんですね。もし、10年前にこの映画をつくっていたら、こういう響き方はしなかったのかなと思いつつも、不思議だなとも思います。 だから次はトランプに投票したいですよ。いまも僕は米国の市民権は持っているし、次の選挙戦ではトランプに一票を投じようかなと思ってます。彼が政権を握り続ける限り話のネタは尽きないから。クレイジーだけどいろいろな問題についても解決しているでしょう。歯に衣着せぬ言動で、みんなが聞きたい言葉をまっすぐ届けてくれている。オバマはインテリすぎて言葉が丁寧すぎるから分かりにくかった。 日本ってトランプ大統領、好きでしょう? そうではない? 親トランプかと思っていました。まだトランプは日本に対して戦争をふっかけてはいませんよね? 彼は世界をもっとおもしろい場所にしてくれると思うよ。オバマはパーフェクトすぎて、僕はちょっと退屈していました。スピーチの半分は知的すぎて理解ができなかった。僕は民主党に投票しましたが、次は共和党のトランプにしようかな。本当かどうかはわからないけれど。僕くらいでしょ、こんな話をするのって。 次回作は米国の国粋主義についてなんですね。いま脚本を書いている最中なのですが、トランプ大統領のスピーチが毎日いいネタを提供してくれています。わくわくしています。芸能系のバラエティでホスト(司会者)があるアジェンダをもって、っていう話です。これまでの作品とはガラリと変わるわけではなく、同一線上にある次のステップとも言える作品です。ぼくの進化の次の段階ということになりそうです。『判決、ふたつの希望』をつくったからこそ、行ける場所なのです。 (取材・文・撮影:小杉聡子) ■『判決、ふたつの希望』8月31日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開