新大関・大の里、25日誕生 「さらに高みを」 所要9場所、昭和以降最速
●敢闘賞、技能賞 石川県出身力士として3人目となる大関が25日に誕生する。大相撲秋場所(両国国技館)千秋楽の22日、西関脇大の里(24)=本名中村泰輝、津幡町出身、二所ノ関部屋=は関脇阿炎に不覚を取ったものの、初土俵から所要9場所での昭和以降最速の大関昇進を確定的とした。13勝2敗で2度目の賜杯を抱き、「さらに高みを目指す」と番付の頂点に挑む決意を示した。 【写真】大相撲秋場所で優勝し、賜杯を手にする大の里=東京・両国国技館 ●理事長「立派だ」 5月の夏場所で初優勝した後、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)から「もっとレベルの高い優勝をしろ」と言われ、褒めてはもらえなかった。今場所前は、親方と相撲を取る異例の稽古を敢行し「横綱直伝」の左おっつけをたたき込まれた。 そのかいあって、攻めの相撲で白星を量産。優勝インタビューでは「たくさん稽古をつけてもらった。親方のおかげ」と感謝を口にした。 活躍のもう一つの原動力が、ふるさとへの思いだった。21日に能登を襲った豪雨の被害を伝えるニュースに胸を痛め、「僕の優勝で少しでも元気になってくれれば」と願っていた。 インタビューでは「絶対に優勝を決めて、石川県に明るい話題を届けたいと思った」と語った。 取組を終えた支度部屋では、土俵上の厳しい表情から一転、優しい笑顔に変わった。賜杯を抱き締め、ふるさとから駆けつけた家族、恩師らと万歳三唱し、喜びを分かち合った。 直近3場所の合計が34勝となり、大関昇進目安とされる33勝を上回った。日本相撲協会審判部は、昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し、受諾された。25日に九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)番付編成会議と理事会を開き、大の里の大関昇進を正式に決める。 九州場所では、まだ大銀杏(おおいちょう)が結えない「ちょんまげ大関」となる見込みだ。八角理事長は「立派だ。誰も馬力を抑えられなかった」と褒め、高田川審判部長(元関脇安芸乃島)は「もっともっと強くなる。将来が楽しみだ」と期待した。 大の里は今場所、敢闘賞と技能賞も獲得。いずれも3回目で、新入幕から5場所連続の三賞受賞は史上初めて。記録づくめの秋場所となった。 ●遠藤、能登を気遣う 東前頭8枚目の遠藤は西前頭15枚目の宝富士に押し出された。ふるさと能登が豪雨に見舞われ「これ以上ひどくならないことを願うばかり」と気遣った。 ●輝、十両転落が濃厚 西前頭11枚目の輝は同6枚目の豪ノ山を会心の相撲で押し出したが、大きく負け越して来場所の十両転落が濃厚。「成績はひどいが、最後の一番は自分が良かった頃の相撲に戻ったと思う」と決意を新たにした。 ●欧勝海、残留厳しく 西十両14枚目の欧勝海は西幕下2枚目の若碇に掛け投げで屈し、十両残留は厳しくなった。