「あなそれ」波瑠のバッシングに考える 不倫妻は悪役の宿命を背負うのか?
出演中の連ドラ「あなたのことはそれほど」(TBS系)で、中学時代の同級生と不倫する主婦役を演じる女優・波瑠(25)が、バッシングを受けているとか。 「なぜこんな役を引き受けた?」と、役柄に関連してネット上で批判されているというのだ。演じる仕事の宿命か、昔からよくあることといってしまえばそれまでだが……。
波瑠の心境とこれまでのイメージ
波瑠は自身のブログを通じ、「後ろめたさ、罪悪感ゼロ」のヒロイン・美都を演じることについて「もちろん理解に及びませんが、仕方ないです。美都とはそういう人なのです。私は美都には共感できないけど、毎日やらなきゃ仕方ない」と心境を吐露。 「面白いと言ってくださる方も、不倫劇を見ていて気分が悪くなる方もいらっしゃると思いますが、私達はただこのドラマを観てくださったことに感謝するだけです」と伝えている。 波瑠といえばNHKの朝ドラ「あさが来た」では、さまざまな困難を乗り越えて激動の時代を生き抜き、成長するヒロインを演じた。多くの視聴者が感情移入、ドラマ自体も大ヒットしたが、役柄によって好感度が上下してしまうのは演じる仕事の宿命か。 「昭和の昔は、映画やドラマで人気ある主役の敵役や悪役をやると、行く先々で暴言を吐かれるのが役者業。最近はネット時代で情報化も進み、フィクションと現実の区別はつくはずですが、『わかってはいても見るたび腹が立つ』との視聴者心理は根強く生きています」と話すのは、地上波放送局のベテランプロデューサー。それだけ物語や芝居の持つインパクトは、強烈な印象を残すということだろうか。
ほかにもコワモテ、悪役イメージが先行してしまった人たち
近年、CMやバラエティー番組などでユーモラスな一面を披露、すっかり親しみを持たれる俳優になった遠藤憲一(55)も、3年前公開されたインドネシア映画「ザ・レイド」ではコワモテのイメージしか知らない現地スタッフにさんざん怖がられたという。 「ヤクザの組長役を演じたんですが、現地に到着するなり出迎えのスタッフに『本物のヤクザなのでは』と怖がられ、スタジオの出入り口で弁当の到着を待ちながら休憩していただけなのに『エンドウさんが怒っている』と震え上がらせたそうですよ」とは、遠藤を取材した芸能記者。そのスタッフたちが、CMで妖精になったり、映画で出産シーンを演じたりという遠藤の別の一面を見たら、果たしてどんな顔をするだろうか。 意外(?)なところでは、プロレス誌の元編集者が「昭和の話ですが、国際プロレスのエースだったラッシャー木村が団体崩壊後、新日本プロレスにアントニオ猪木らの敵役として参戦すると、自宅に投石されるなどの被害を受けた。悪役冥利に尽きるといえばそれまでですが、木村さんは優しく温和な性格なので気の毒でしたね。晩年は全日本プロレスで親しまれるキャラになれたので、ホッとしました」と、悪役のつらさを明かす。
観て感想を抱いてもらえることで報われる
波瑠はブログで「こういう内容の作品ですからね。しょうもないとか馬鹿とか最低とか言われても、観て感想を抱いてもらうっていうことで私は報われるような気持ちです」と、視聴者から反響があることに感謝を述べ、「私は頭の中お花畑にして突っ走ります」とつづっている。まだドラマは今夜で第4話だが、ストーリーの進行とともにどんな演技を見せてくれるか。 (文・志和浩司)