クルマのディーラーで「目先の利益だけ考えている営業マン」と「顧客想いの営業マン」を見分ける方法
良いクルマに出会うには、安全性や乗り心地に優れたモデルを探すだけでなく、信頼できるディーラーや営業担当者を探すことも重要です。自分の担当になった人と相性が合わないと、ちょっと話を聞きに行ったつもりが「買う前提」で商談がどんどん進んで困ってしまうことも――。そんな事態を防ぎ、「顧客想いの営業担当者」にクルマ選びをサポートしてもらうには何をすべきなのでしょうか。ディーラー事情に詳しい自動車ジャーナリストが解説します。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一) 【画像】今年中に日本で買える!? 中国メーカー「BYD」の電気自動車「シール」 ● 「買う前提」で話が進む!? クルマのディーラーが苦手な人も 新車・中古車を問わず、クルマを新たに購入するときは「どこで買うか」が重要です。金額の大きな買い物となるため、消費者心理としては少しでも安く買いたくなるかもしれません。ですが、クルマは「買って終わり」ではなく、購入後に車検やメンテナンスが必要となることから、それらも安心してお任せできるお店を選びたいものです。 また、クルマにあまり詳しくない人にとっては、そのクルマのいいところだけでなく「ネガティブな点」もしっかりと説明してくれるか否かが、お店選びでは重要なポイントとなるでしょう。単に売れているクルマをおススメするのではなく、「自分にあったクルマ」を提案してくれるお店であれば、信頼度はさらに増すはずです。 しかし、特にディーラー(正規販売店)では、営業担当者のペースで商談が進められてしまうことがあります。そのクルマが本当に自分に合っているかどうか分からないのに、「買う前提」で話がどんどん進むため、「ディーラーは苦手」だと感じている人もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、ディーラーとうまく付き合って、本当にいいクルマに出会う方法を考えてみましょう。
● 本当に信頼できる営業担当者と 出会うための方法とは? 冒頭の話とはちょっと矛盾するかもしれませんが、大事なことを先にお伝えしておきます。確かにクルマは「どのディーラーで買うか」が重要ですが、それよりもっと大事なのは「誰から買うか」です。どの営業担当者から買うかで、その後のカーライフの満足度や安心感は大きく変わってきます。 ですが、ディーラーで担当になった人に違和感を覚えても、「担当者を変えてほしい」とは言いづらいですよね。そこで試してほしいのが「あらかじめ欲しいクルマをリサーチした上で、近所の複数のディーラーに出向き、同じクルマの見積もりをとってみる」という方法です。 同じメーカー系列のディーラーでも、店舗によって微妙に雰囲気は違いますし、当然ながら勤務している営業担当者は違います。言い方がよくないかもしれませんが、同じクルマで見積もりを出してもらうと、「親身に相談に乗ってくれるか」「手際が良いか」といった重要なポイントを同一条件のもとで比較できます。営業担当者が自分に合っているか、信頼できるかを見極めやすくなるでしょう(どこも代わり映えしない場合の対処法は後述します)。 見積もりを入手した後は、「今日の情報は参考にさせてもらいます」と伝えればOK。先方から突っ込んで聞かれなければ、勤務先などの個人情報は極力伏せたまま退店しましょう。複数のディーラーを見比べて、営業担当者の人柄や仕事ぶりが良かったところだけを再訪し、詳しい話をすればよいのです。初めて行くディーラーでは、筆者もこの方法を実践しています。 一方で、「1円でも安くクルマを買うこと」に執念を燃やしている人は、営業担当者の人柄よりも「どれだけ値引きしてくれるか」を重視するかもしれません。確かに、ディーラーの店長やマネージャー、それに準ずる「裁量権の大きな営業担当者」に運よく出会えれば、見積もり時に大きく値引きしてくれる可能性もあります。 ですが、それでも筆者は、営業担当者の肩書よりも「親身に向き合ってくれるか」「自分に合っているか」を重視するべきだと考えます。