久保ミツロウ×能町みね子×ヒャダイン「昭和の民間療法いろいろ。魚の骨をご飯で飲み込む、メンソレータム、オロナイン…何に効いたんだっけ?」
◆パニックになったとき、スッと出せる定食を ヒャダ 過呼吸もキツそうですよね。 能町 過呼吸キッツいです。 ヒャダ 経験あります? 能町 過呼吸はあるんですけど、私、心臓悪くなったときに過呼吸にもなったんですよ。 ヒャダ すごい。ダブルパンチ。 能町 多分心臓が悪いせいで、心理的にもパニックになって、過呼吸も出ちゃったんだと思うんですけど。本当に「あ、もう息吸えない、死ぬ」と思うんですよ。呼ばなくてよかったのに、救急車を呼んじゃったこともあって。「これ過呼吸じゃなくて心臓だ」と思ったんですよね。で、救急車を呼んだら「過呼吸です」と言われて。 久保 いや、でも過呼吸はキツいでしょう。 能町 キッツいです、過呼吸。息が……本当はちょっとできてるけど、意識的には全然できてない感じなんですよ。実際の症状よりも、心理的なパニックのほうが大きいんです。 ヒャダ 「このままいったら死ぬんじゃないだろうか」という疑念が負のスパイラルとなって……。 能町 そう、爆発的に来るんですよ。 ヒャダ 僕も閉所恐怖症が最近キツくて。 能町 あ、そうなんだ。 ヒャダ きっかけがあるんですけど、北九州の千仏鍾乳洞に行ったんですよ。そこがけっこうクレイジーな鍾乳洞で、途中から水の中を歩くんです。そのまま水の中を歩いて行ったら、「ここからは個人の責任でお願いします」みたいな看板があって。 能町 おお、怖っ。 ヒャダ そこからはヘッドライトか、携帯のライトで照らすかしかないんです。で、そのまま行ってたら、途中で水に潜らなきゃいけなくなって。 久保 ああ~っ、クレイジ~! ヒャダ クレイジーなんですよ。潜って次に行くみたいなんですけど、それやってたら、どこが終わりなのかわからないし……。 久保 パニックパニック。 ヒャダ ってなったら、もう怖くなってきて。「このまま出られなくなって溺れたらどうしよう」「このまま出口がなかったらどうしよう」「このままだったら死ぬんじゃないか」という考えが、どんどんどんどん……。 能町 それに囚われちゃう感じですよね。 ヒャダ そうなんですよ。本当にそれしか考えられなくなって、負の考えの二乗みたいな感じで頭の中がウワーッとなって、「ダメだーーーっ!」と叫んで、僕、引き返したんですよね。 久保 それは閉所恐怖症じゃなくても、もう耐えられない。そんな中でポジティブでいられるわけがない。 ヒャダ それがあってから、調子いい日は大丈夫なんですけど、悪い日だと、歯医者で顔にタオルをかけられて、身体をちょっと固定されて……みたいなことになったとき、「このまま抜けられなくなったらどうしよう」「抜けられなくて死ぬんじゃないか」という考えになって、「すいません、タオル取ってください!」となっちゃったんですよ。ある意味、過呼吸にも似てるなあと思って。 能町 多分似てる。 ヒャダ 自分で自分を負のスパイラルに落としていく感じ。 ──じゃあ鍾乳洞体験がなかったら、今も普通でいられた? ヒャダ そうですね。でもうちの親父も閉所恐怖症らしいので、遅かれ早かれそうなってたのかもしれないです。なので、最近は素数を数えるようにしてます。 能町 なにそれ(笑)。 ──気を散らすということ? ヒャダ はい。「素数バージョン」と「北から県庁所在地バージョン」があって。「このまま死ぬんじゃないか」というスパイラルに陥ったら、「1、2、3、5、7、11、13、17……」って。それか、「札幌、青森、盛岡……」とか。 久保 待って。私、言えるかな。札幌、青森……。 能町 そっちに注目するの(笑)。 久保 いや、それを暗唱しなきゃいけない授業があって、私はクラスで一番早く言えたんだけど、今はどうかなって。札幌、青森、秋田、盛岡……岩手? 能町 岩手は盛岡。 一同 (笑) 久保 すいません。話を変えてしまって。 ヒャダ っていうふうに、考え事してたらけっこういいっすね。素数と県庁所在地は。 能町 パニックになったときに、そういうシステムは持ってたほうがいいですね。 ヒャダ そうそう。スッと出せる定食。 久保 ええ? そんなの考えたことなかった。 能町 久保さん、なにか暗唱できるものありますか? 順番になにか言えるとか、歴代●●みたいなのとか。 久保 記憶力に頼ったことがまったくないから、そういうのやったことがない。 ヒャダ セーラー戦士は? 久保 私、あんまりセーラームーン好きじゃないから。 ヒャダ 黄金聖闘士。 久保 ごめん、私はシャカだけ言って終わる(笑)。乙女座だから。 ヒャダ ジョジョのスタンド。 久保 全部は読んでない。あ、わかった。二子山部屋の力士の名前を全部言う! 能町 ああ~、そうか! それは私も負けると思う。 ヒャダ 最近、我々の中で相撲ブームが来てるんですよ。 ──えっ、そうなんですか? 能町 そうみたいです。私を差し置いて。 *この話、次回に続きます。
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