坂東希”謎の女”がガチで怖い…役者魂を感じるほどの怪演ぶりとは? ドラマ『嘘解きレトリック』第7話考察レビュー
本当は好きなのに、突き放してしまう…。
大人になると、お世辞を言うのがうまくなる。お世辞を嘘と呼んでいいのか分からないが、本当は「大したことないなぁ」と思っているのに、「天才ですね!」と褒め称えたら、鹿乃子の耳には嘘の音が鳴り響くことだろう。 基本的にお世辞って、相手を傷つけようとして言うものではないから、「これはお世辞なんだ」と分かってしまうのって、本当にしんどいと思う。できることなら、相手の言葉をそのままありがたく受け取りたいものだ。 その一方で、女給のリリー(村上絵梨)のように、本当はプラスの感情を持っているのに、相手にマイナスの言葉をぶつけてしまう人もいる。 女給の仕事は疑似恋愛を提供することもあるため、リリーは「君は特別だよ」「僕を信じて」とお客さんたちから愛の言葉を囁かれてきたらしい。ただ、それは店のなかで恋人の真似事をしているからこそ出る言葉だ。 そのため、一歩外の世界に出ると、一瞬にして壊れてしまうこともある。壊れてしまうというか、そもそも存在していなかったのかもしれない。 だからこそ、リリーは貫二にも踏み込むことができなかった。本当は好きなのに、「恋人ごっこも飽きちまったよ。わたしが、あんたなんかに本気になるわけじゃないじゃないか」と貫二を突き放してしまう。 鹿乃子は嘘が分かる能力を持っているため、リリーの本音を察することができるが、そんな能力がない貫二は、彼女の言葉をそのまま受け取るしかない。「僕なんて、相手にするわけないよなぁ」とリリーのことを諦めようとしてしまうのだった。
左右馬&鹿乃子にはいつまでも最強タッグでいて欲しい…。
そんな2人の仲を取り戻したのは、鹿乃子の「貫二さん、嘘ついてなかったんです。リリーさんも応えてあげてください」という言葉だった。映画を観る約束をしていたのに、「幽霊を見たせいで骨折をしたから行けなくなった」とすっぽかされてしまったこと。 “謎の女性”に、「貫二と一夜をともに過ごした」と言われたことを信じてしまい、浮気者だと疑うようになってしまったこと。本人に、「本当だよ」「嘘じゃないよ」と言われても信じられないことが、第三者に言われることで「もう一度、信じてみようかな」と思えることって、ある。 リリーと貫二の想いが通じ合ったのを見て、「お邪魔だし、帰ろっか」と鹿乃子に声をかけた左右馬。その姿が、まるで長年連れ添った夫婦が、新しくできたカップルを優しく見守っているように見えて、なんだか癒された。 「もう、はやく付き合っちゃえよ…!」と言いたいところだが、左右馬と鹿乃子には恋愛関係なくかけがえのない仲間でいてほしい気持ちもあるから、むずかしい。どちらにせよ、2人がいつまでも最強タッグでいてくれることを願っている。 【著者プロフィール:菜本かな】 メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。