島根、鳥取両県内就職率、2年連続減 コロナ禍で一時上昇も・・・ 23年度、全国的な人手不足影響
2023年度(24年3月)に山陰両県の大学、短大、高専などを卒業した学生の県内就職率は、前年度比で島根が2・4ポイント減の32・3%、鳥取が0・2ポイント減の28・9%で、ともに2年連続減少したことが両県のまとめで分かった。県外に進学した学生のUターン就職率も2年連続減だった。コロナ禍を機に地方回帰の傾向が生まれ、県内就職率は一時上昇したものの、人手不足に伴う全国的な人材獲得競争の激化で再び低下している。 【高専生が人気】高専卒採用 島根、鳥取両県企業が苦戦 就職率1~2割、学生と接する機会を
コロナ禍前の19年度に島根29・4%、鳥取28・9%だった県内就職率は、感染拡大した21年度に島根37・9%、鳥取31・3%に上昇。その後、行動制限の緩和などで22年度、23年度と2年連続で減少。人材獲得競争の中で、都会地と地元の企業との賃金など待遇面の格差拡大も影響しているとみられる。 島根の23年度の県内就職率の内訳は、前年度比で島根大が4・1ポイント減の25・8%、県立大が0・2ポイント増の43・9%、松江高専が3・9ポイント減の22・3%。鳥取は鳥取大が0・1ポイント増の17・5%、公立鳥取環境大が3・6ポイント減の18・8%、米子高専が1・4ポイント減の14・4%などとなった。 23年度のUターン就職率は前年度比で島根1・4ポイント減の28・8%、鳥取が3・6ポイント減の35・1%だった。 島根は23年度の県内就職率38・5%の政策目標を掲げていたため、同県政策企画監室の秦尚裕政策企画監は「厳しい数字」と受け止めた。一方、若者の地元定着を図るため、学生と企業の意見交換会開催などに取り組む「しまね産学官人材育成コンソーシアム」の事業などに触れ、「取り組みを積み重ね、学生に島根の魅力に触れてもらう機会などを設けたい」と話した。
鳥取は、首都圏の大学などに通う県出身の若者のつながりづくり事業などを展開する。同県人口減少社会対策課の川本陽子課長は「都市部の人材難の影響が地方に及んでいる。若者の声を反映させた施策を展開し、都市に流れる傾向を食い止めたい」と話した。