悪女、仕事ができる完璧な女性役から新境地の菜々緒 「すがすがしいほど無能な女性」役へ
◆「無能の鷹」テレビ朝日系 金曜午後11時15分(地域によって異なります) お仕事ドラマは、主人公が未熟だったものの奮闘しながら成長する、または、優れた頭脳を武器に試行錯誤しながら成功にたどり着く展開が王道だ。だが、演じる本作の主人公の鷹野ツメ子は、最初から最後まで無能で全く成長しない。自身はそれを「すがすがしい」と笑う。 【場面カット】第4話より、超有能そうなのに実は使い物にならない主人公の鷹野ツメ子(菜々緒) ITコンサルティング会社営業部の新入社員の鷹野は、身のこなしがスマート。立ち居振る舞いは謙虚ながら自信に満ちあふれ、中堅エース級の風格を備えている。だが、パソコンの起動ができない、コピーも取れない、難しいことを考えると頭が痛くなる、何が分からないのか分からない…。絶望的に無能なのだ。一方、鷹野と同期入社で同じ営業部の鶸田道人(塩野瑛久)は仕事ができるが、気弱のため無能に見え、鷹野とは正反対。この2人がタッグを組み、営業先で奇跡を起こす。鷹野の無知故の何げない発言をクライアントが勝手に勘違いし、それが功を奏していくのだ。 「擦れ違いコントのような展開。脱力系のチグハグさを楽しめると思います」と物語のテイストを説明する。 鷹野は自分に噓がなく、自分を信じている。駄目でも良くても何とも思わず、常に自分らしくあることを貫いている。 「鷹野の在り方って現代社会ではなかなか難しい。でも、彼女はそれを計算するわけでもなく、ただあるがままの自分を表現して生きている。仏のような超越した存在だと思う。超人的でもあって、すごみすら感じる。人間が本来あるべき姿を考えさせられます」 何もできない鷹野と異なり、自身は何でも自分の力で完璧にこなそうとするキャラクターだという。 「『もっと人に頼っていいんだよ』と言われても、あれもこれも自分でしちゃう。その方が早いんです」 そんな思いを抱く中、本作のプロデューサーからクランクインする前に手紙が届いた。それには「世の中には、上手に力を抜けない頑張り屋さんが多い。でも人は生きているだけで偉いのだから、たまには逃げても、頑張らなくても良い。視聴者が楽しく生きる方法を見つけられる作品にしたい」と書かれてあった。 「私も日々の生活を一人で完璧にしようとせずに、どこかで折り合いをつけることも必要だと感じました。ちょっと特異な鷹野の生き方を通して、視聴者の皆さんにもそれが伝わったら、うれしいです」と期待する。