自立更生の鍵は“昭和のちゃぶ台” 「本音を話せる場所があることが少年たちの自立・更生につながる」 愛知・豊田市
少年の自立や更生を支える施設に設置された“昭和のちゃぶ台”。そこには、行き場のない少年たちを支援する男性の強い思いが込められていました。
行き場ない少年たちの自立援助ホームに、お茶の間にある“昭和のちゃぶ台”を
非行や親の虐待などで行き場のない子どもたちを受け入れる自立援助ホーム「陽和ハウス」。今年2月に開所し、現在は10代の少年たち4人が共同生活を送っています。食事の後、食器を洗っていた少年は、名古屋・栄の繁華街をたむろする“ドン横キッズ”でした。 入所している少年(16): 「大事な仲間もかっこいい先輩もいるので、前に比べて生活が安定した。働くことだったり、いろんなもの学んでいける」
運営するのは非行少年の立ち直りを支援するNPO法人「陽和」。今まで200人以上の少年の自立を手助けしてきました。理事長の渋谷さん自身、17歳のときに「オヤジ狩り」で逮捕。成人した後にも詐欺で捕まり、実刑判決を受けた過去があります。 「陽和ハウス」 渋谷幸靖さん: 「自分みたいな少年たちを減らすということは、自分にとって償いにつながるのかなと。この活動を命かけて一生やろうと思って」
渋谷さんには、ホームを作るときになんとしても用意したいものがありました。それが“ちゃぶ台”です。ちゃぶ台を囲んで座り、和気あいあいと普通の会話ができるような場所にしたいという渋谷さん。イメージするのは、家族や近所の人たちが集まる、お茶の間にある“昭和のちゃぶ台”です。悩みなど、本音を話せる場所があることが、少年たちの自立や更生につながると考えています。
渋谷さんは、知り合いの建設会社社長の協力で場所を貸してもらい、楓の一枚板でちゃぶ台作りを開始。すると、渋谷さんを手伝いたいと、支援していた少年たちがやってきました。 仕事が休みの日にボランティアで手伝いにきた健さん(21・仮名)も、高校時代、非行に走ったことがありました。夜遊び、たばこ、お酒に手を出し、最終的に公園のベンチを燃やして逮捕。器物損壊で保護観察処分を受けたときに、健さんを支えたのが渋谷さんでした。 健さん(21・仮名): 「渋谷さんの支援を受けてきたので、その恩返しっていうか、僕がサポートしたいなと」 頼もしい助っ人を得た渋谷さんですが、慣れないちゃぶ台作りに悪戦苦闘。はたして、渋谷さんがイメージする“昭和のちゃぶ台”は完成するのでしょうか。