ハマス当局者、生存する人質の人数は「誰にも分からない」
レバノン・ベイルート(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区に依然として拘束されている120人の人質の命運は、長引く流血の紛争に終止符を打つあらゆる取り決めにとって極めて重要だ。現地ではイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続いている。しかしハマスの高官はCNNの取材に答え、生存している人質の人数は「誰にも分からない」と明らかにした。その上で、人質を解放するためのいかなる協定も恒久的な停戦の保証とイスラエル軍のガザからの完全撤退を盛り込むものでなくてはならないと強調した。 【写真】昨年10月7日の襲撃現場に放置された車両 レバノンの首都ベイルートで行われたCNNとのインタビューの中で、ハマスの政治部門のメンバーで報道官を務めるオサマ・ハムダン氏は、膠着(こうちゃく)状態に陥った停戦協議に対するハマスの立場などについて語った。 同氏は俎上(そじょう)に上がっている最新の停戦案について、戦争終結に向けたハマスの要望を満たしていないと指摘した。イスラエルが同意したとされるこの案は、バイデン米大統領が先月初めて公表していた。 ハムダン氏によれば、ハマスが求めるのは停戦並びにガザからの完全撤退を受け入れるとする立場をイスラエルが明確に示すことだという。同時にパレスチナ人が自分たちで将来を決定すること、ガザの再建と包囲の解除も明確に認めるようイスラエル側に求めている。その上で、「囚人の交換に関する公平な協定については、話し合う用意がある」と述べた。 今回の紛争につながった昨年10月7日のイスラエル南部への奇襲について、ハマスは後悔しているのかどうか問われると、ハムダン氏はイスラエルに現状の責任があるとの見方を表明。攻撃はイスラエルによる占領に対する反発だったと主張した。 また現地での多数のパレスチナ人の死をガザにおけるハマスの最高指導者、ヤヒヤ・シンワル氏が「必要な犠牲」と表現したとされる件については、虚偽の報道だと一蹴した。 ハムダン氏はイスラエルへの奇襲で拘束した人質のうち何人が生存しているのか「一切把握していない。これについては誰にも分からない」と述べた。さらにイスラエル軍が人質4人を救出した今月8日の作戦に言及。作戦に当たり、米国人を含む人質3人が死亡したと主張したが、証拠は一切提示しなかった。 イスラエルは協定の第1段階として女性や病人、高齢者を含む人質40人の解放を要求したが、ハマスは4月の時点で各国の仲介者に対し、協定の基準を満たす人質の人数をそろえることができないと告げている。 また、解放された上記の人質4人が肉体的、心理的虐待を受けていたと治療に当たった医師が証言したことについて、ハムダン氏はイスラエルに原因があると糾弾。人質らが精神に問題を抱えたとすれば、拘束されている間、イスラエルによる爆撃で女性や子どもを含む民間人が連日殺されるのを目の当たりにしたせいだろうと語った。