Adobe Stock

　労働収入だけに依存しないライフスタイル「FIRE」。近年頻出するワードではあるが、実際に達成に向けて行動している人はさほど多くはないのではないか。今回フィーチャーするのは、2022年にFIREを達成したSGee氏（X：@SGee30418056）。米国株を中心に投資を行い、Xでは投資に関する話題やFIRE達成後のリアルなどを発信している。 　みんかぶマガジン短期連載「米国株投資家が語る、FIREの実情」第2回は、氏の銘柄選定の基準やFIREのリアルなどについて話を聞いた。

個別株は「ロマン枠」　下がっても不安にならないような銘柄を選ぶ

――SGeeさんの銘柄を選ぶ基準とその理由を教えてください。 　私は、基本的に株の銘柄分析や調査にあまり時間を費やすことはありません。また「どう儲けるか」ではなく「どう損失を避けるか」を重視しています。 　定期的にリバランスが行われるインデックス投資が効果的な手段だと思い、メインスタイルにしていますが、それだと物足りないので、個別株にも投資はしています。私はこれを、自分の中で「ロマン枠」と呼んでいます。個別株を選ぶ際の基準は、下がっても不安にならないような銘柄を選ぶことですね。 　また、銘柄をどのように絞り込むかというと、自分が利用した経験がある、または関わりがあると感じた銘柄を選びます。そこから一般的な銘柄分析を行い、EPSやPERを確認し、市場がバブル状態にないことを検証した上で、長期的な保有を目指して購入します。 ――そのほか、銘柄選定で意識していることは？ 　AIやインバウンドなどの、いわゆるテーマ株を選ぶこともあります。購入したら、上記と同じく放置するスタイルを取っています。ただし、全財産を1つの銘柄に投じると不安になるので、資産の5%までしか1つの銘柄には投資しないというルールを設けています。

投資スタイルとの相性を見極めて“ストレスレス”なやり方を

―“過去に痛い目に遭った経験”で、SGeeさんの中で特に印象に残っている投資での失敗エピソードはありますか？ 　大きな失敗は特段経験していませんが、上記の経験や数々の金融ショックを経て、リスクが大きい超小型株や理解できないセクターには手を出さないという教訓は得ましたね。 　また、他人がいいと言っているからといって考えずに購入すると、私の場合必ず損をするので、絶対にやらないようにしています。一方で、そのような方法で利益を上げる人もいるので、結局は人それぞれなのかなと。 　強調したいのは、投資スタイルと自分自身との相性があるということです。投資は「いい」や「悪い」ではなく、「利益を上げる」か「上げられない」かだけです。だからこそ、自分に合ったスタイルを見つけることが重要だと思います。 ――ストレスなく続けられる形が理想的だと。 　そう思います。ちなみに、私のXの相互フォローさんの中には、20年前にGoogleなどに投資し、リーマンショックやコロナショックなど大きな波乱があっても“ガチホ”し続けた結果、150万が1億円に化けた人もいます。20年間で約100倍の利益を上げている計算になります。 　これも、その方なりのストレス無く続けられる自分に合ったスタイルを貫かれたからこそと言えるでしょう。労働収入を維持することで金融資産には手を付けずに生活でき、"ガチホ"が可能になります。 　その結果、気がつけば資産が大きく増えているというわけです。 　もちろん、頻繁に売買を行い利益を上げる人もいますが、それはそれでひとつの方法と言えます。以前に読んだ本に、大学の学部選択において、学部によってその後の収入が大きく変わってくるという話がありました。 　また、以前に読んだ本で、大学で選択する学部によってその後の収入が大きく変わるので、極力期待収入が高い学部を選び高収入を得てFIREするという戦略が紹介されていました。 　その本の作者は期待収入が高いコンピュータサイエンス系の学部を選んで高収入キャリアを築き、高収入を投資に回してFIREした後に、本来の夢だった作家になる、という戦略を実行していました。そのように、労働は単にお金を稼ぐ手段と割り切り、収入を上げることに特化して早期にFIしてから好きなことをするのも面白い戦略だと思います。ここでもキーになっているのは労働収入で、やはり私を含む一般人は労働収入を軸足にして戦うのがよいと思います。 〈構成・西脇章太(にげば企画)〉