男子の服装で登校したら怒られた…校則に書いてないのに 皆が納得できるルールを作るには? 高校生の挑戦
「ネクタイも着けたいし、細かい決まりが窮屈」
文化学園長野高校(長野市)2年生の神田紗希さんと丸山詩乃さんは、中学生の頃から身近な校則について考え、学びを深めている。校則と言えば、自由や規律が議題になることが多いが、2人が注目したのは多様性と「自分らしく生きること」。2人は高校生が探究活動の成果を発表する「全国高校生マイプロジェクトアワード2023長野県Summit」(本選は1月27日、長野市で開催)で発表し、22~24日に都内で開かれる全国大会に出場する。4年間の探究活動を紹介する。 【写真】一式そろえれば10万円以上も…制服のリユース専門店誕生
始まりは、ジェンダーレス制服の研究
神田さんと丸山さんが探究活動を始めたのは文化学園長野中学(同市)2年生の時。制服は男子がネクタイとスラックス、女子はリボンとスカートとされていたが、「リボンやスカートはあまり好きじゃない」(神田さん)、「ネクタイも着けたいし、細かい決まりが窮屈」(丸山さん)と考えたのがきっかけだ。「男性だから、女性だから」と服装を決められることに違和感を覚え、まずは全国で注目され始めたジェンダーレス制服の探究を始めた。 国際協力機構(JICA)のスタッフとして働いた経験がある同校教員の協力で、2人は国連職員にも取材。SDGs(持続可能な開発目標)でジェンダー平等を唱える国連ではトイレにどんなピクトグラム(絵文字)を使っているのか、男性は青、女性は赤といったように色で区別しているのかなどを質問した。国連のトイレを示すピクトグラムは黒で、色では性別を区別していないことが分かった。ほかにも、職場では性別や人種など多様な人がいることが前提になっていることや、会議は各自が考える正装で出席することなどを教わった。
法律や校則が自分らしく生きることを奪わない社会に
少数派の生きづらさについても関心を抱き、高校1年の春には、女性のパートナーがいる女性に話を聞いた。パートナーと入籍できず、社会的に家族と見なされない状況を変えようとこの女性は周囲にカミングアウトしたという。2人は「自分らしく生きられる世界を自ら手に入れようとする姿勢に感動した」とする一方、「法から取り残された生きづらさを当事者だけに背負わせているのではないか」と考えるようにもなった。そして、法律や校則というルールが、自分らしく生きることを奪わない社会を作りたいとの思いを強くした。