マー君の錯覚ではない?メジャーの公式球が「飛ぶボール」に変わっていた?
メジャーリーグの年間本塁打のペースが過去最多の勢いで進んでいる。2015年後半戦から総本塁打数が増えていて、これまでメジャーの年間の最多総本塁打数は2000年の5693本だったが、現時点では今シーズンの総本塁打数は、この記録を上回りそうなペースだ。多くのチームが現時点で70試合を戦い、折り返しの81試合までにはあと10試合程度が残っているが、それでも2701本のホームランが出ている。 なぜ本塁打が増えているのか。その要素はいくつもあり、球団拡張による投手レベルの低下や、ドーピングの疑い、ストライクゾーンの変更などが挙げられるが、最大の原因のひとつが、全球団が統一して使用しているローリングス社製の公式球が「飛ぶボール」に変更されているではないか、という疑惑だ。 今季の被弾ワーストトップとなっているヤンキースの田中将大が「ボールが飛ぶ気がする」と地元メディアに語ったことが話題になったが、実はその「飛ぶボール疑惑」は、間違いではなかったという検証結果を米国のメディアが発表している。 米メディアの「ザ・リンガー」は、なぜ本塁打の数が増えているのかの問題を独自に検証して、2015年の後半から公式球が変更され、これまでよりも飛ぶボールになったのではないかという結論を出した。 同記事によると、野球統計家であるリッチマン氏が独自に入手した試合使用球をワシントン州立大のスポーツ科学の実験室に送り、そこでボールの反発係数、縫い目の高さ、堅さを調べたという。 リッチマン氏と、ワシントン州立大の調査によると、2015年前半までに使用されていたボールに比べて、新しいボールは、反発力がわずかながら増し、縫い目の高さが低くなり、より完全な球形になっていることが分かったそうだ。 ボールがより反発することによって、ボールの飛距離が3.1フィート(約95センチメートル)伸び、縫い目が低くなったことによって空気抵抗が減り、飛距離は2.9フィート(約93センチメートル)増え、より球形に近く形が変わったことによる影響でも、飛距離が1.1フィート(約32センチメートル)伸びたという実験結果を掲載した。 「全てを合計すると7.1フィート(約2メートル20センチ)よく飛ぶようになったことになる」としている。これは、「バットがボールを打つ瞬間に時速1.4マイル(約2.3キロメートル)のスピードが加わったとも言い換えられる」とザ・リンガーの記事は解説している。さらに同記事は「マイナーリーグでも昨年半ばから本塁打数が増えている」とも伝えた。