「クイーンセブン」で異常が発生した花穂。シャインに症状が似ている（読者提供）

　ブドウ「シャインマスカット」で問題となっている開花異常（未開花症）が、「巨峰」「ピオーネ」などの27品種でも発生していたことが明らかになった。農研機構の全都道府県アンケートで分かった。収量や品質への影響は不明。本紙「農家の特報班」にも、農家からシャイン以外の品種で発生報告が寄せられている。 【画像】「シャインマスカット」で開花異常が出た時の主な対策 　同機構によると、生産量が多い「巨峰」「ピオーネ」で発生が確認されたが、両品種以外の品種名は公表していない。シャインを含む二倍体品種だけでなく、四倍体品種でも発生しているという。 　品種ごとの発生園地の数や症状の出やすさ、収量への影響などは調査していない。シャイン以外の品種では、生産量に対して開花異常の発生が少なく、同機構は「（以前から発生があっても）注目されなかったのではないか」（果樹茶業研究部門）とみる。

シャインの対処法　利用できる可能性も

　シャインは花穂の先端部で発生しやすく、上部や中間部では発生しにくい傾向がある。先端部に異常があった場合、房の付け根に近い上部の支梗や花穂の中間部を残して房を作ることで被害を減らせる。同機構は、他品種で発生した場合も「シャインの対処法が利用できる可能性がある」（同部門）としている。 　本紙「農家の特報班」にも農家から発生情報が寄せられている。京都府でブドウを栽培する男性（49）は、2022年からシャインで開花異常の症状が出ており、同じ園地に植えた「マスカット・ノワール」「クイーンセブン」などでも症状が出ているという。 　シャインは花穂全体に症状が及び、収穫できない木もあり、この男性は他品種への改植を検討中。ただ、他品種でも症状が出ている状況に「改植が正しい選択なのか分からない」と不安を吐露する。（金子祥也） ＜ことば＞未開花症 　5、6月の開花時期になっても、雌しべと雄しべを覆うキャップ状の「花冠」が外れない症状を指す。発生すると花が落ちたり、果実が肥大しても形がいびつになったりする。原因は分かっていない。