半導体技術で育つ野菜は気候変動に勝てるか 電機メーカーの野菜工場とは
異常気象や気候変動の影響を受けない植物工場
松永氏は、これまでの取り組みを振り返り「60点」と自ら採点した。当初、年間3億円の売上を目指すとしていたが未達成。生産プロセス確立に注力した分、拡販への取り組みが遅れてしまった点などが減点の理由という。 販路自体は、徐々に拡大しつつある。プラカップに入れたカット野菜を販売する「Salad Cafe(小田急百貨店新宿店ほか)」など当初から野菜を提供しているところに加え、新たにスーパーマーケットの「ピーコックストア(恵比寿南店ほか)」、「西友(平塚店ほか)」などへも提供している。 2016年は、さらに販路を広げるべく活動を展開するほか、他社に対して植物工場に使う機器やシステムの販売にも取り組む方針。なかには、蛍光灯よりも植物の生育を促進する効果が期待できる植物育成用LED照明も含まれるという。 松永氏は、植物工場の将来は明るいと見ている。「今はまだ目立たない存在だが、植物工場は必ず世界的に伸びていくと思います。露天での栽培は、異常気象や気候変動、水害などの影響を受けることもありますので、今後は、人工的な環境で野菜を作る植物工場が、ある程度求められるようになるのではないでしょうか」。 (取材・文:具志堅浩二)