コンビニおにぎりに異物が混入、その事実は公表すべきなのか?
6月8日午前、都内の企業に勤める40代男性のAさんは、職場近くのファミリーマートでおにぎりを購入した。出勤前にこの店で朝ごはんを購入するのは、いつもの習慣だった。
プラスチックのような破片が混入
オフィスでパソコンを立ち上げながら、左手でおにぎりをつかんで一口かじると、歯にカチン、という感触があった。「最初は骨かな、と思ったのですが、それにしては平たい物体のように感じたので、口からおにぎりを離して改めて見ると、プラスチックのような破片が入っていました」と話す。 店舗に戻ったAさんは、異物が入ったままのおにぎりを見せながら店員に経緯を説明。店長からは謝罪があり、おにぎりの代金の返金を受けた。 Aさんは、異物が混入した原因とともに、今回の件を自社ホームページなどで公表するのかどうかを知りたく思い、同社のお客様相談室にメールで問い合わせた。同相談室からはその後、Aさんの体調を気づかう丁重なお詫びのメールなどが届いたが、公表に関しては「他のお客様からの指摘がなく、拡散性が低いと判断して差し控えた」という旨の回答があった。
異物混入、コンビニ各社はどう対応する?
スマホで撮影したという写真をみせてもらうと、細長い板状の透明な物質が、おにぎりをかじった断面から突き出ていた。先端部はとがっている。 幸い、Aさんにけがはなかったが、「異物の向きが縦だったら、唇を切っていたかもしれない。たとえ1件しか報告がなくても、原因を調査中なのだから、注意喚起するためにも公表すべきなのでは?」というのがAさんの意見だ。 異物混入があった際、コンビニを含む流通各社は事実を公表し、製品を回収するケースがある。公表する、公表しないの差はどこにあるのか。Aさんの異物混入の件で、ファミリーマートを含む大手コンビニ各社に取材を申し込んだ。 ファミリーマートの広報室には、実際に会って話を聞きたいと伝えたが、「取材に来ていただいても、お話することは同じ」と話し、電話口で「お客様との間の話なので、第三者には話をしていない」とだけ回答をした。 一般論として、異物混入問題が発生した時に、公表・自主回収を行うか否かを判断する際の社内基準をたずねたところ、同社は「異物混入にはさまざまなケースがあり、お客様の健康を気づかってその都度きめ細かく対応する。こういった場合はこうする、という話はできかねる」と話す。 セブン-イレブンの親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは、「社内規定なので、公にはしていない」「(異物混入問題は)非常に複合的なものなので、これだからこうする、ということはなかなか申し上げにくい」と、ファミリーマートと同じく、明確な回答はしなかった。 ローソンは「お客様の健康状況や他の商品への混入の可能性の有無に応じて、所轄の保健所への連絡、店頭告知、会社ホームページでのお知らせ、リリースを実施いたします」と他の2社よりは詳しい回答だったが、慎重を期したのか、取材を依頼してから、回答まで約3週間を要した。回答は文面だった。