塩対応?神対応? 藤原、吉田、根尾らスーパールーキーの躍動を支える広報力
そして藤原である。こちらも練習後にスポンサーボードの前で連日、テレビ、記者の取材に応じる。歯の噛む力を調べる検査や、腕相撲対決など、話題作りにも引っ張りだされているが、嫌な顔ひとつせず協力している。彼は、3人の中で一番、あっけらかんとしていた。 思いきったことを言うのだ。大阪桐蔭時代からビッグマウスだったそうだが、メディアにはありがたい存在だろう。「実はバットが自分のモノとは違った」などのエピソードトークもふんだんにある。 元スポーツ新聞記者で、メディアが何を求めているかを熟知している千葉ロッテ広報室長の梶原紀章氏は、「基本的なNG項目やアドバイスは簡素にしますが、指示をし過ぎて、その選手の面白みなどの個性が消えないように気をつけています。押し付けたコメントよりも本人の心から出てくる言葉の方が絶対に面白いと思うので」と新人のメディア対応の基本方針を説明する。 千葉ロッテでは、ドラフト指名後の挨拶、契約会見の際に「言ってはならない」NGワードなどの基本的なメディアへの対応方法をレクチャー。入団会見時には、全員にメディア対応の必要性と意義を教え、会見後に簡単にそれぞれの受け答えへの感想を伝えて「いい」「悪い」の区別を理解させるという。 その中で梶原氏は新人選手の取材対応への許容範囲を確認。キャンプ取材の「量、幅、質」を決定する。 「藤原に関しては、昨年の指名挨拶などの受け答えを見て、ちょっとまだ厳しいかなあと思ったんですが、1月までに大きく成長したのでキャンプでの取材の幅は比較的大きくしました。藤原には彼の露出が多くなることで球団だけではなくロッテグループ全体にプラスの効果を及ぼし、待っているファンにも伝わる、それが、とても大切な事だと、取材対応の意義、価値を教えました」 キャンプ中の囲み取材、中継局の取材は、毎日受けるが、個別のインタビュー取材は1日1本、休日前は2本と制限した。これらの方針も藤原本人に説明して了承を得ている。またキャンプ中は「インタビューのトレーニング」とも位置づけ、梶原氏は、必ず取材に同席し、受け答えのどこがよくて、どこが悪かったか、などの復習も行い、藤原のインタビュー力を鍛えている。