<響け!ユーフォニアム>9年で描けた久美子の成長 最終章の第3期は? 石原立也監督インタビュー
高校1年生から3年生になり、それぞれが成長している。
「最初からやろうとしたわけではなくて、結果的になったことではあるのですが、今見ると第1期の久美子は若干幼い印象があります。第3期は、『誓いのフィナーレ』(2019年公開の劇場版)の時から基本的にキャラクター設定を変えていないのですが、第3期の久美子は大人っぽく見えます。それは、久美子の置かれている環境が1年生の時とは違い、部長になっていますし、その責任もあってあんまりヘラヘラした表情をしていません。りりしい顔が多くなっています。ちなみに、葉月と求は少しキャラクターデザインを変えています。求はちょっとだけ背を高くしています」
高坂麗奈はドラムメジャー、塚本秀一は副部長となり、久美子を支えることになる。久美子、麗奈、秀一たちは吹奏楽部で起きるさまざまな問題に直面する。
「第3期は緊張感のあるシーンが多いです。ヒリヒリするシーンばかりでは痛くなってきますし、案配が難しいところです。久美子はいろいろな問題の渦中に、入っていかざるを得ないので、苦労はします。久美子や秀一は後輩に対して優しいけど、麗奈は厳しく接することもあります。麗奈は3年生になってより厳しくなっています。自分に厳しいし、周りにも厳しい。麗奈は芯が通っていて、曲げない子です。ただ、危うさもあって、僕はそこが彼女の魅力だと思っています」
◇黒江真由の人間味を描く
第3期に登場する新キャラクターの中で特に注目を集めているのが“謎の転校生”黒江真由だ。真由は吹奏楽部に入部することになる。公開中の映像では、久美子と真由の出会いが描かれている。キラキラした真由がどこか神秘的にも見える。
「真由は、久美子のライバル的な存在になりますが、僕として見ている人には真由のことを好きになってほしいんですよ。キャラ設定を作る際も麗奈に負けないくらいの美少女にしようとしました。普通に転校生が来たというよりは、謎の美少女が登場する方がドラマチックじゃないですか。神秘的な方がキャラクターに興味を持ってもらえます。ただ、ギミックのようになってはまずいとも思っています。アニメを描く上でのギミックは必要ですが、彼女を一人の人間として描きたい。キャラクターは、ストーリーを動かす上で都合よく使ってしまうこともありますが、そうすると人間味が薄れてしまうことがあります。彼女にも事情があるわけですし、なるべく人間味を描いていこうとしています」