思ったほどお客さん来ない?パリ五輪の経済効果、まだら模様
五輪には多くの来場者が集まることから、本来なら開催都市に経済的恩恵をもたらすはずだ。来月パリで2024年の五輪が開催されるが、高額な費用と安全上の懸念が、観光客の足を遠ざけているようだ。 ある大手データ会社によると、6月6日以降のパリ行きの航空便の予約数は前年比10%の伸びにとどまるという。これは2016年のリオ大会で、訪問者数が115%も増加したのとは対照的だ。コロナ禍で開催された東京大会でさえ、20%増加した。 さらに開幕直前数週間のホテル予約数は、前年同期よりも減っていることが分かった。米国に拠点を置くスポーツに特化した旅行代理店は、ここ25年のあらゆるスポーツイベントでこれほど低い予約数を見たことがないと話す。 この調査結果は、価格に敏感な消費者が遠ざかるという、主要都市がこうした大規模イベントを開催する際に直面する課題を浮き彫りにしている。ロンドンも2012年の五輪で同様の経験をし、訪問者数はわずか3%の伸びにとどまった。 パリにとって打撃であることに変わりはない。 市観光局は、五輪期間中のホテルの平均宿泊料金が昨年より70%上昇し、1泊369ドルになったと発表。 また民泊サイトのエアビーアンドビーは、パリでの予約数が過去最高を記録したとしている。 3月時点で、五輪期間中のパリ地域の宿泊予約数は、前年同期比400%増加した。 その一方で、エールフランスKLMは1日、五輪観戦以外の目的で同国を訪れる観光客が減るため、夏季の売上は予想を下回るとの見通しを発表した。 ある旅行代理店は、顧客が旅行を延期する理由として、価格だけではなく安全上の懸念を挙げているとしている。フランスでは総選挙も行われており、 最高レベルの警戒態勢が敷かれている。パリ警察のトップは先月、イスラム過激派テロが治安上の最大の懸念事項であると述べた。 それでも一部の旅行代理店は、開幕直前にチケットや宿泊施設の需要が高まることを期待している。直前割引が消費者の購買意欲をかき立てるとみているのだ。 また別の分析会社は、来場者は欧州各地から電車や車で到着する可能性があり、航空便の乗客には計上されないだろうとの見方を示した。 実際、鉄道運行会社のユーロスターは、五輪とパラリンピック期間中のパリ行き切符の売上高が、前年比7%増加したと発表した。 パリは少なくとも、ある程度の経済的成功を期待できるはずだ。最新の調査では、五輪がパリ地域に最大120億ドルの経済効果をもたらすと推計している。