資産運用を任せていた夫が亡くなったら「口座の資金」はどうなる?口座の存在に気付かなかったら没収される?
もし、口座がすべてデジタル管理されていたら?
ここまでご紹介した方法でも、証券口座の特定が非常に困難な場合があります。すなわち、故人が取引をすべてスマホやパソコンで管理し、情報がオンラインで完結している場合です。 その場合、まずは故人のパソコンやスマホのIDやパスワードを使って、ログインしなければ手掛かりをつかめません。 また、何とか中に入れたとしても、故人が証券口座に関する情報を(例えばエクセルなどで)整理しておいてくれればよいのですが、そうでなければ、資産運用のことをよく知らない残された配偶者にとっては、判別はかなり困難です。 ここまでお読みいただいてお分かりかと思いますが、故人の口座を探すのは、時に断片的な情報をさまざまな方法でかき集めて、推理し、当たりをつける、という探偵のような行動が必要になります。 そのためには、相続に強い専門家や、パソコン・携帯などデジタルに強い人の協力は欠かせません。ただし前述のとおり、どんなにデジタルに強い人でも、まずはパソコンやスマホに入れなければ情報を集めることはできません。 そこで、資産運用を任せている夫(妻)には、生前から夫婦の財産目録などを準備しておいてもらい、自分の口座がある金融機関や口座番号、おおよその資産額について、共有できるようにしてもらうのがよいでしょう。
生前のうちから詳しい内容を教えてもらうこと
本記事の冒頭で記したとおり、たとえずっと気付かなかったとしても、証券会社に預けた資産が没収されることはありません。また、万が一証券会社が破綻しても、資産が分別管理されているため、預けた資産ごと消滅してしまうこともありません。 ただし、長い間口座を放置すると、その間も株や投資信託などの金融商品は価格が変動するため、思わぬ損失を被ることがあります。そして何より、口座の存在を特定できなければ、そもそも相続人が相続することもできません。 資産運用を配偶者に任せている方は、生前のうちから、その詳しい内容を教えてもらうようにしておきましょう。そして、もし何も知らされずに不幸があった場合は、家族・故人と付き合いのあった方や専門家などの力をためらわずに借りて、放置されてしまう口座がないよう、手続きを進めるようにしてください。 出典 (※1)内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 放置したままの口座はありませんか? 10年たつと「休眠預金」に (※2)株式会社証券保管振替機構 ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合 執筆者:酒井 乙 CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。
ファイナンシャルフィールド編集部