成龍時代は終わったのか? ジャッキーのすべてを確認せよ「ジャッキー・チェン(4K)映画祭」&最新作『ライド・オン』
ジャッキー・チェン50周年記念映画『ライド・オン』が5月31日に公開される。2024年の今年は『ドランクモンキー 酔拳』日本初上陸から45周年という節目のメモリアルイヤーでもある。 『ライド・オン』の公開に先駆けて、「ジャッキー・チェン(4K)映画祭」が5月10日より新宿ピカデリーほかで開催されており、4Kとなって蘇った、ジャッキー自身がフィルモグラフィでベストという『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985)、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウを加えたBIG3と評された彼ら最後の共演作『サイクロンZ』(1988)、1930年の香港を舞台に闇社会のボスとなった青年を描いた『奇蹟/ミラクル(1989))の3作品が上映されている。 劇場最新作の公開を機に、今一度ジャッキー作品を思い出してほしい。
伝説のスタントマン
70歳を迎えたジャッキーは、最新作『ライド・オン』で、かつて香港映画界伝説のスタントマンと言われたルオ・ジーロンを演じている。 彼は、いまでは第一線を退き、愛馬・チートゥとともに、地味な仕事をこなしながら生活していたが、債務トラブルに巻き込まれ、チートゥが競売にかけられる危機に瀕してしまう。困ったルオは、疎遠になっていた法学部の学生である一人娘のシャオバオ(リウ・ハオツン)に、助けを求めた。 同時に「愛馬と映画を撮ろう」と、再びスタントマンとして危険な撮影現場に立ってほしいという話が舞い込む。なんとかチートゥを守ろうとルオは、愛馬とともに危険なスタントシーンに立ち向かう。 本作は父と娘、愛馬が織りなす再起をかけた人間ドラマであると同時に、中国映画を支えてきたスタントマンたちへの讃歌でもある。 劇中には、ルオの過去のスタント映像として、これまでジャッキーが演じてきた沢山の作品から命懸けアクションシーン、例えば『プロジェクトA』(1983)の時計台からの落下、『ポリスストーリー 香港国際警察』(1985)の傘を使ったバスへの飛び移りなど、心に残る数々の名シーンが使用されている。それらは本作の役柄と作品自体に大きな説得力を与えている。 そのほか『ドランクモンキー 酔拳』(1978)での、腰を落とし、お尻の下に線香、太ももには水の入った器をのせ空気椅子状態を保つ鍛錬「馬歩站椿」をはじめ、『スパルタンX』(1984)、『プロジェクト・イーグル』(1990)、『THE MYTH/神話』(2005)から抽出されたオマージュ要素が散りばめられ、70歳のジャッキーが、あの時と同じように、飲み屋で喧嘩し、椅子を使ったトリッキーなカンフーアクションを見せる。 もちろん、ジャッキー作品の笑いもきちんと盛り込まれている。若かりし頃の出演作同様、高級料理店でガツガツと暴飲暴食をするジャッキーは「これは癖なんだ」と言ってみたり、新しく購入した服が、白のシャツジャケットに白のワイドパンツといった、誰もが見たことあるジャッキーファッションであったりと、ジャッキー映画ならではの笑えて楽しめる内容となっている。