クルマだけではない「100年に一度の大変革」 保険の世界では?
このテレマ保険、あいおいニッセイ同和損保によれば、昨年末までの保険保有台数は約190万台に上ります。そこで得られる膨大な走行データ、いわゆる「ビッグデータ」は保険としての利用にとどまりません。そこにはまさに自動車のCASEの世界を広げる可能性があります。例えばこんな取り組みです。 ・急ブレーキなどの発生頻度を地図にプロット、保育園児の散歩コースの危険度を示すデータとする ・警察が公開している交通事故の発生場所とデータを連動させた「交通安全マップ」作成 ・運転中の上下の振動データを異常個所と推定し、道路整備に役立てる さらに、先月(3月)からはトヨタと共同で、燃費のデータから安全運転による二酸化炭素の排出量を計算して、温室効果ガス削減にもつなげる取り組みも始まっています。 そして、自動運転への期待も高まっています。自動運転走行中の運転の保険料を無料化するなどの対応です。それは将来、保険の形をも変えていく……そんな可能性も秘めていると言えます。 「クルマはこれから必ず自動化に進んでいく。自動車保険のあるべき姿も大きく変わるかもしれないということも論議している。人がクルマを運転しなくなるとどこにリスクがある?これは自動車保険なのか?大きな論議になっていくだろう」(鈴木グループ長) 日本の損害保険業界は、かつては外資の新規参入が厳しく制限され、国から手厚く保護されていました。いわゆる「護送船団方式」です。これにより、自動車の保険料も各社ほぼ一律の時代が長らく続いていましたが、1996年に保険業法が改正されて保険の自由化が実現し、その後、外資を巻き込み様々な保険商品が生まれました。その世界はまさに様変わりしています。 今回お伝えした「テレマティクス保険」。海外ではハイブリッドカーで電気モーターのみで走っている割合が高いほど保険料の割引がある、そんな商品も出ています。コネクテッド、自動運転、シェアリングにも大きく関わってくるテレマ保険ですが、大きな視点で見た発展のカギは、やはり、土台となるビッグデータをどれだけ集め、活用できるかにかかっていると思います。 自動車保険誕生から110年、「100年に一度の大変革」といわれる自動車本体に勝るとも劣らない地殻変動が起こっています。 (了)