「独自のスタイル構築」「成長を促すマネジメント」「前々監督、前監督を知る」、FC東京・小原GMが語る松橋監督招へいの理由
FC東京は10日に味の素スタジアムで新体制発表会見を行った。小原光城ゼネラルマネージャー(GM)は2024シーズンの総括、そして松橋力蔵新監督の招へい理由について語った。 【写真】福田師王が大胆イメチェン「ライオンじゃん」「圧倒的金ピカ」 24シーズンのJ1リーグを7位で終えたFC東京。小原GMは「悔しいし、もっと上に行けたというのが正直なところ」と本音を語った。「一言で言うとチームのパフォーマンスが不安定だったところに尽きる。攻守にわたる戦術の積み上げ不足が大きな要因。攻撃のチャンス構築率の停滞、守備での失点の多さ、代表的なところで言うと、プレッシングの整理がもう少しできた」と振り返った。 一方で、日の丸を背負った選手の輩出には胸を張る。「A代表に長友(佑都)選手、五輪代表(候補)に木村(誠二)も含めて5名を送り込めた。U-21以下の出場率はリーグでトップクラス。若手も成長させながら行けたシーズンだと思っている」と強調した。 最後に、得点数の増加と、さらなる向上にも目を向けた。「ここ数年で言うと、1試合平均1.4点と増加傾向にある。とはいえ、もっと贈位を狙うためには2点近くに上げていくことをやっていかなければいけないという2024シーズンだった」。そうまとめる小原GMは来シーズンへの展望を口にした。 「まずは『+1Goal(ワンモアゴール)』。より多く得点を奪って勝利していく。そのために相手陣内でのプレー時間、プレー回数、ボール保持率を上げて、アタッキングサード、PAに数多く進入していく。そしてより多く得点チャンスを創出する。プレッシング、守備に関しても積極的な守備、相手陣内で守備をしていくところをより多く作っていく。それが失点の低下につながり、攻守において主導権を握り続けるフットボールを実現していくというところがフィロソフィーにある」 「そのなかで2025シーズンは攻守における戦術の徹底と明確化、独自の攻撃的なフットボールスタイルを築き上げて勝利を手にし、上位争いに食い込んでいくシーズンにしていきたい」 スタイルの転換を続けていくなかで、現状の課題解決ができ、さらに所属選手の良さを引き出す指揮官として、FC東京は松橋監督を招へい。小原GMは日本人だけでなく外国人複数名の候補ともミーティングを行い、最終的に松橋監督にオファーを出したことを明かした。 FC東京が松橋監督に決めた理由は3つ。小原GMは「独自のスタイル構築」「成長を促すマネジメント」「アルベル前々監督、ピーター・クラモフスキー前監督を知る」といった要素を挙げる。 「前提として、前チームの新潟さんのフットボールを東京に持ち込んでもらうということではない。われわれ独自のフットボールスタイルを築き上げたい。それは敵陣でのプレータイムを上げていくこと。松橋監督は2022シーズンのJ2優勝のときに1試合平均1.73得点、42試合で73得点を記録した。われわれの特徴である相手に脅威を与えるスピードのある攻撃を生かすために、相手陣内に効果的にどう入っていくか、前線の選手に良い形でボールを届けるか、というところのビルドアップの整理を課題に挙げ、そこに長けている監督であるということが、1つ目の理由」 「2つ目として、選手の能力や特長を最大限に発揮させ、適切な競争を促して、個人とチームの成長を最大化させるマネジメント。新潟さん時代に、限られた条件のなかで選手の能力を引き出し、選手の入れ替えも大きいチームのなかで(22シーズン)J2優勝、(23シーズン)J1で10位、(24シーズン)ルヴァン杯準優勝、J1でNo.1の保持率を確立させるという着実な成果を上げられた。多くの選手を成長させ、ヨーロッパや他クラブに巣立たせた。選手の信頼も厚い」 3つ目には、松橋監督がFC東京の前々監督であるアルベル監督と新潟時代に、また前監督のピーター・クラモフスキー監督と横浜F・マリノス時代にともに過ごしたことを挙げる。 「ここ3年フットボールスタイルの転換を図ってきたなかで、前々監督のアルベル監督、前監督のピーター監督とともに4年間にわたり、ともに仕事をしているところは大きかった。過去3年間、チームで取り組んできた内容を理解して、それに対する課題や最適解の落とし込みが早く進むだろうというところ、これが3つ目の大きな理由。チームコンセプトやゲーム、トレーニングの構築を理解し、その優位性や強みと同時に、課題や弱みも熟知していることが大きかった」 小原GMはディエゴ・オリヴェイラの現役引退を「予期しなかった引退」と明かしつつ、「昨年までの3年間で年齢やポジションを意識しながらある程度スカッドを整えてきた」と自信をのぞかせる。攻撃面、守備面で核となる選手を揃えたことを強調しながら、引き続き補強選手を探していくこともほのめかしていた。