【デーブ大久保コラム】人は努力する「過程」を見て信頼する。佐藤輝明もそこを大事にしてほしいです
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 現役時代にチームメートだった松井秀喜は、当時の長嶋茂雄監督のご自宅など、いろいろなところでバットを振っていました。めちゃくちゃ振るなと思っていましたし、あれだけ振るから成績がドンドンよくなっていったんだろうな、と感じています。 【選手データ】佐藤輝明 プロフィール・通算成績・試合速報 団子状態のセ・リーグのペナントレース。その大きな要因として、本来なら実力で頭一つ抜けている阪神が苦しい戦いをしているからです。その中で、主軸を任されていた佐藤輝明が極度の打撃不振と、守備での失策もあり二軍降格となりました。 実際に私もこの目で、佐藤輝の打撃を見ていますし、彼の飛距離を考えたら松井よりも飛ばすのではないか、と思うくらいです。その松井は年々成績を伸ばしていきました。一方で佐藤輝はどうでしょうか……。もちろん、ここぞの場面で打ったりとヒーローの気質を持った選手だけに、この低迷は非常に悲しいですし、ここがプロ野球選手としての正念場だと思いますね。 二軍で特守練習を行ったなどの報道もありましたが、ここまでの選手になると、二軍の首脳陣も若手同様に扱えないので、自分で自分を律することが大事になってきます。私自身は、佐藤輝が今一番やらないといけないことは信頼を取り戻すことだと思うんです。 先日、わが故郷のスター、大山悠輔が、タイムリーを放ったときに岡田彰布監督が、朝早く来て室内で黙々と打っているからな、と話していましたが、まさにここが信頼に当たるのだと思うのです。 「努力が報われる」というのは実際にはそうないんです。大山も努力していますが、まだ結果が付いてきていませんよね。でも信頼される。その大きな理由は、努力の「過程」が素晴らしいからなんです。努力を継続し、黙々とやり切る「過程」を見ているからこそ、みんなから信頼されるんです。 皆さんどうですか? 会社で遅刻を繰り返したり、決まりの時間よりも遅く出社する人を信頼しますか? また自分よりも遅く出社する人をあまり信頼できないですよね。なぜか? 当たり前のことができない「過程」を繰り返しているからです。これは私の愚痴になりますが、こういう人間たちに限って会社や組織を批判して、自分を正当化するし、先輩や先人の話を受け入れてやろうとしないんです。 話を戻しますが、人は「過程」を見て人となりを判断する。もともと佐藤輝は、ふてくされたような態度(本人はそういうつもりはないと思いますが)に見えてしまうことが、プレーの中で見受けられました。もっと真摯(しんし)な姿勢を周りに見せていくことも、自分が好きな野球でご飯を食べる糧になることを感じてほしいと思います。 どんな時代にも「過程」は人と人との信頼をつなぐ「自分への努力」だと思います。ここを佐藤輝が克服できると、素晴らしい打者として一軍に戻ってくると信じています。
週刊ベースボール