数十年に1度だけ咲く 愛知・東山動植物園でアガベ・ホリダ
数十年に1度だけ咲く 愛知・東山動植物園でアガベ・ホリダ THEPAGE愛知
数十年に1度だけ開花して、その後枯れていく植物「アガベ・ホリダ」が、愛知県名古屋市の東山動植物園のサガロ温室で花を咲かせた。2月18日に開花。珍しい現象を一目見ようと、多くの来園者でにぎわっている。開花の様子が見られるのは3月末ごろまでの見込み。茎が4メートル近くあり、いつ枯れて倒れるか分からないため、同園では様子を見ながら茎を支える措置を施し、種の採取などを試みる。
倒れた衝撃で、種がばらまかれる
アガベ・ホリダは、中南米などに分布するリュウゼツラン科の一種で、株には縁にとげがついた大きな葉があるのが特徴。開花につながるきっかけは不明だが、高温で湿度が低い条件で生育する。 リュウゼツラン科は成長が極めて遅く、海外では100年に1度しか咲かないこともあり、「センチュリープラント」とも呼ばれる。日本の気候では、30~50年に1度開花するとされる。 開花は、株から伸びた茎の下部から上部に向かって、らせん状につぼみが開き、おしべから黄色い花粉が放出する。めしべに受粉すると、種ができる。最上部まで開花すると株は一生を終えて茎が倒れる。この倒れた衝撃で、種がばらまかれるとされる。 花粉を放出するおしべは無数にあり、離れて見ると数十センチの幅で茎が黄色く染まって見える。2015年12月に株から茎が伸びているのを職員が確認。その後、1日に20センチほど茎が成長し、2月18日に黄色い花が咲き始めた。3月18日時点で茎は直径10センチほど、高さ4メートルほどまでになった。
1988年と1990年に1株ずつ導入、1株は10年ほど前に開花
同園の記録によると、1988年と1990年に1株ずつ導入。そのうちの1株は10年ほど前に開花したが、個体ごとの詳細記録がないため、今回開花した株がいつから同園で育てられているのかは不明。ただ、温室での生育開始から25年以上たって初めて花を咲かせた個体であるのは、確かだ。 開花の様子を孫と一緒に見ていた名古屋市在住の男性は「巨大なアスパラガスに見える。株はアロエみたい」と例え「数十年に1度というのがなんとも不思議で神秘的」と、さかんにカメラのシャッターを切っていた。
来館者の間には、枯れて茎が倒れる最後の瞬間を見たいという意見もある。しかし、直径10センチ、高さ4メートルもある茎がいつ、どのようなタイミングで倒れるか予測できない。生育場所が温室内の見学者コースに近く、場合によっては倒れた茎が客に当たるおそれもある。同園では、茎の最上部のあたりまで開花が確認できた時点で、支柱などで茎を支えるなどして、安全な方法で撤去することにしている。 (斉藤理/MOTIVA)