カンヌでヨルゴス・ランティモスの新作上映、奥山大史「ぼくのお日さま」も出品
フランス現地時間5月14日から25日に開催される第77回カンヌ国際映画祭のラインナップが発表された。 【画像】「憐れみの3章」場面写真 (c)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.(他6件) 「バービー」のグレタ・ガーウィグが審査員長を務めるコンペティション部門で上映されるのは、ヨルゴス・ランティモスの「憐れみの3章」のほかアンドレア・アーノルド、デヴィッド・クローネンバーグ、アリ・アッバシ、ショーン・ベイカー、ジャ・ジャンクー、ポール・シュレイダー、パオロ・ソレンティーノらによる新作。「憐れみの3章」は、自分の人生を取り戻そうと格闘する男、海で失踪し帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官、卓越した教祖になると定められた特別な人物を懸命に探す女という3人の人物の物語で構成されている。エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリー、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーらが出演した。 また、グザヴィエ・ドランが審査員長に就任したある視点部門には、奥山大史の監督作「ぼくのお日さま」が出品される。田舎町のスケートリンクを舞台とする「ぼくのお日さま」は、吃音を持つホッケーが苦手な少年タクヤ、選手の夢をあきらめたスケートのコーチ・荒川、コーチに憧れる少女さくらの視点で紡がれる小さな恋の物語。タクヤ役で越山敬達、さくら役で中西希亜良、荒川役で池松壮亮が出演し、奥山は撮影、脚本、編集も手がけた。 ある視点部門に日本人監督の作品が出品されるのは、2022年の「PLAN 75」以来2年ぶり。2024年2月に28歳になった奥山は、ある視点部門に日本人監督として史上最年少で選出された。カンヌ国際映画祭の総代表ティエリー・フレモーは「ぼくのお日さま」の選出理由を「コレエダ(是枝裕和)の再来だ。10分も観ればこれがまさに映画であることがわかる。ぜひとも大きなスクリーンで観てほしい」と述べている。 奥山は「『月の光』が繰り返し流れる本作ですが、カンヌのドビュッシー劇場が初上映の場になるとは夢にも思っていませんでした。物語のインスピレーションを与えてくださったハンバート ハンバートさん、ずっと力強く背中を押し続けてくださった池松さん、そして、共にこの映画を作り上げてくださった皆さん。ここまで連れてきていただき、心から感謝しています」と述懐。企画段階から奥山を支えてきた池松は「映画そのものを祝福してくれるような世界最高峰の地で、自分にとって本当に大切な作品を、様々な国の映画人、映画ファンにみていただけること、大変光栄に思っています。奥山さんをはじめ、主演の敬達、希亜良、キャストスタッフ、この映画に関わった全ての方々と、この喜びを分かち合いたいです」とコメントした。 また、本作のインスピレーションの源となった主題歌「ぼくのお日さま」を提供したハンバート ハンバートの佐藤良成は「週末になると渋谷に出かけミニシアターで映画を観ていた高校時代の私にとって、カンヌの『ある視点』は“いい映画”の指標のような存在でした。その『ある視点』に『ぼくのお日さま』が選ばれるなんて、嬉しすぎて恐ろしいです」と述べる。同じくハンバート ハンバートの佐野遊穂からは「私たちの作品が、発表から10年後に一本の映画になり、それがカンヌ映画祭の出品作となって、またたくさんの人たちと出会う事になるなんて、こんな幸せなことはありません。子育てをしていると、子どもによって自分の世界が広がる事がしばしばあるけれど、それに似た感覚です」と喜びの声が届いた。 「憐れみの3章」は2024年に日本公開。「ぼくのお日さま」は2024年9月に東京・テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開される。 ■ 第77回カンヌ国際映画祭 主なラインナップ □ コンペティション 「The Apprentice(原題)」(監督:アリ・アッバシ) 「Motel Destino(原題)」(監督:カリム・アイノズ ) 「Bird(原題)」(監督:アンドレア・アーノルド) 「Emilia Perez(原題)」(監督:ジャック・オディアール) 「Anora(原題)」(監督:ショーン・ベイカー) 「Megalopolis(原題)」(監督:フランシス・フォード・コッポラ) 「The Shrouds(原題)」(監督:デヴィッド・クローネンバーグ) 「The Substance(原題)」(監督:コラリー・ファルジャ) 「Grand Tour(原題)」(監督:ミゲル・ゴメス) 「Marcello Mio(原題)」(監督:クリストフ・オノレ) 「Caught by the Tides(英題)」(監督:ジャ・ジャンクー) 「All We Imagine as Light(原題)」(監督:パヤル・カパディア) 「憐れみの3章」(監督:ヨルゴス・ランティモス) 「Beating Hearts(英題)」(監督:ジル・ルルーシュ) 「Wild Diamond(英題)」(監督:Agathe Riedinger) 「Oh Canada(原題)」(監督:ポール・シュレイダー) 「Limonov: The Ballad(原題)」(監督:キリル・セレブレンニコフ) 「Parthenope(原題)」(監督:パオロ・ソレンティーノ) 「The Girl with the Needle(英題)」(監督:マグヌス・フォン・ホーン) □ ある視点 「Norah(原題)」(監督:Tawfik Alzaidi) 「The Shameless(原題)」(監督:Konstantin Bojanov) 「Le royaume(原題)」(監督:Julien Colonna) 「Vingt Dieux!(原題)」(監督:Louise Courvoisier) 「Dog on Trial(英題)」(監督:レティシア・ドッシュ) 「Black Dog(英題)」(監督:クワン・フー) 「The Village Next to Paradise(原題)」(監督:Mo Harawe) 「September Says(原題)」(監督:アリアン・ラベド) 「L'histoire de Souleymane(原題)」(監督:Boris Lojkine) 「The Damned(原題)」(監督:ロベルト・ミネルヴィーニ) 「On Becoming a Guinea Fowl(原題)」(監督:ルンガーノ・ニョニ) 「ぼくのお日さま」(監督:奥山大史) 「Santosh(原題)」(監督:Sandhya Suri) 「Viet and Nam(原題)」(監督:Minh Quy Truong) 「Armand(原題)」(監督:Halfdan Ullmann Tøndel)