【全日本大学駅伝】2年連続で伊勢路をつかんだ鹿児島大学 10000m初出走の2人が見せた「魂の走り」
第56回全日本大学駅伝の九州地区選考会が6月2日、福岡大学陸上競技場で開かれ、鹿児島大学が1位となって2年連続の本戦出場を決めた。昨年の選考会でチームを39大会ぶりの出場に導いた主力2人が卒業し、戦力ダウンを不安視していた時期もあったというが、逆に総合タイムを昨年より3分半も縮めてみせた。取り組んできた選手層の底上げが実を結んだ。 【写真】「今年もみんなで本戦行くぞ!」勝利を確信し部員みんなで歓喜の涙
1組目の3年生トリオが「魂の走り」
レースは3組に分かれて行われた。事前に発表されたエントリーリストを見た鹿児島大のメンバーは、少し驚いたという。最大のライバルとみていた第一工科大学が、日本人の主力を第1組に入れてきたためだ。そして最終第3組には、抜けた実力を持つチェボティビン・サイラス・キプラガト(2年、福岡第一)を配しており、梅橋拓也主将(3年、鳳凰)は「第一工科さんは1組目で差を付けて先行し、それを3組目のキプラガトまで守り切る作戦」と読んだ。 それに対して鹿児島大の第1組メンバーは、主将の梅橋がいるものの、水口渉(3年、岩国)と出水田怜緒(3年、鹿屋)は10000mのトラック競技が初出場。両校の3組までの選手配置を見て展開を予想した梅橋は、「1組目の自分たち3年生トリオがカギ。3人の合計タイムで勝てないとしても、僅差(きんさ)でついていって、2組目以降へ流れを作ろう」と、全員に言い聞かせて、当日を迎えた。 1組目は、梅橋と第一工科大3人を含む5~6人の先頭集団が終盤までレースを引っ張った。水口と出水田は集団からは少し離されながらも必死に食らいついた。梅橋は必死の形相でスパートをかけ、第一工科大の3人を上回る組2位でゴール。そしてゴール付近にとどまり、後続の水口、出水田を大声で必死に呼び込み、迎え入れた。水口が組6位、出水田も8位という結果に、藤本悠太郎(3年、宮崎西)は「魂の走りを見せてもらった」と、うなった。3年生トリオは第一工科大との差を約52秒にとどめ、狙い通りに流れを作った。